好きなのに、こじれた関係の同期に誘惑され、今夜だけと淫らに狂う社員旅行の夜
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好きなのに、こじれた関係の同期に誘惑され、今夜だけと淫らに狂う社員旅行の夜 (ページ 1)
「功って、ほんっと運転上手いよね」
長い指の先をほんの少しだけ動かしてウィンカーを出し、的確な車線変更をして、前の車を追い越した功の横顔を見ながら言った。
「別に、普通だけどな。上手くはないよ」
功は少し照れたように言うと、また黙ってしまう。
同期入社の功の車に同乗して、社員旅行先の温泉地に向かっている。
私のほかにも同乗する予定の先輩がいたのだけど、仕事の進行が遅れ、ふたりきりのドライブになってしまった。
沈黙に耐えられず、思い切って褒めてみたのに、会話が続かない。
褒めたいところは他にもたくさんある。
男のくせに赤すぎる唇とか、キーボードをリズミカルに叩く長い指とか、分厚い黒縁眼鏡を外すと睫毛が意外に長いとことか、ネクタイの柄がいちいち可愛いとことか。
私は半年も、隣の席から功をこっそり盗み見て、ため息をついている。
功の反応があまりに薄いので、私は助手席に寄りかかって、大きく伸びをした。
「うーん…」
今日は半日で仕事を終えたとはいえ、この一週間は緊張を強いられる仕事が多く、肩や首がひどく凝っている。
「今週も、疲れたね」
「春香ってエロいよな」
「え?」
「毎日隣でエロい声を聞かされる身にもなってみろ。それから男に運転上手いとか、言わないほうがいいと思うけど」
「ちょっと、どういうこと?」
と言って、考えた。
オフィスでも、ほぼ毎日伸びをしている。そのときの声がエロいというのか。
でも、運転って?
運転が上手い男はエッチが上手いって俗説があることを思い出して、赤面した。
「そんなつもりで言ったわけじゃないんだけど。でもオフィスで変な声は出さないように、気をつけるね」
「別にいいよ、やめなくても。春香のエロい声、思い出して楽しんでるだけだから」
その話は、やめてほしい。
「…もう、別れたから。連絡も取ってない」
「知ってる」
「そんなに好きじゃなかったの、お互いに」
「じゃあ、なんでつき合ってたんだよ」
「好きになろうとして、無理してた。だって、あんなことになっちゃったから…」
「そっか、ごめんな、俺のせいで」
「功のせいじゃないから」
「ていうか、春香は好きでもない男と、できるんだ」
「…酔ってたから…」
胃のあたりがずっしりと重くなって、息が苦しくなる。
言い訳は、したくない。
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