子供の頃遊んでいた神社に久しぶりに訪れたら、神様に愛でられちゃいました
キャラクター設定
登場人物をお好きな名前に変更できます。
milkyに掲載の小説は当サイトが契約した作家によるオリジナル作品であり、著作権は当サイトにて保持しています。無断転載、二次利用は固く禁じます。不正な利用が確認された場合、法的措置を取らせていただきます。
子供の頃遊んでいた神社に久しぶりに訪れたら、神様に愛でられちゃいました (ページ 1)
子供の頃よく遊んでいた神社に、ふと行ってみようという気になった。
今思うと、気が向いたというより…呼ばれたのかもしれない。
境内を歩いていると、浴衣姿の女性と見間違うかのような美しい風貌の男が立っていた。
一瞬見とれていると、男性が「見つけた」と呟いた。
「多少俗世にまみれてしまったけれど…魂そのものは綺麗なままだ」
「あの…?」
何だか少し怖くなって、困惑しながら聞き返す。
「覚えてる?私達が別れ際にかわした言葉」
「え…?」
「また会えたらその時は二人でずっと…遊んでいようね、ってさ」
ズキン、と頭が痛むと共に幼い頃の記憶がぼんやりとよみがえる。
『ここでずっと遊んでたいなぁ』
『本当かい?じゃあ、もう少し大きくなったらまた遊びにおいで。その時は――』
そうだ。私は過去にこの人と会っている。
しかも成長した私と違って、彼はあの頃から姿形が変わっていない。
「土地神である私はここを動けない。だから、私はお前をずっとここで待っていたんだよ」
「や、怖いよ」
ここに居てはいけない。身体中がそう訴えていた。なのに、見つめられる赤茶色の瞳から目が離せない。
「裏山でとれたぶどうだよ。さ、食べて」
直感で、これは口にしてはいけないと思った。かたくなに唇を結んで拒むと、ため息と共に鼻をつままれた。このままでは呼吸ができない。
「ほら、口を開けて」
「っ…は…ッ」
たまらず酸素を吸おうと一瞬薄く唇を開くと、容赦なくぶどうの実を押し入れられた。手のひらで口を塞がれて吐き出すこともできなくなる。
「ん…っぐ」
じゅわ、と甘い果汁を飲み込んでしまった。見計らったように「ちゃんと咀嚼して、飲み込みなさい」と言われると、なぜかその通りに口が動く。
「んっ…はぁ」
ごくん、と嚥下すると、身体中を何かが走るような奇妙な感覚がした。怖くて目の前の神様に視線ですがる。
何を、したのかと。
意図を汲んだ神様はそれは愉快そうに、美しく微笑んだ。
「常世に適する身体に作り替えてあげたんだ。こちらの食べ物を食べたことで、もう君は人ならざるものへと成り変わった。これで私とずっと一緒にいられるね」
「や…、帰る、ゃだあ」
もう後戻りできないのだとどこかで確信する。涙が溢れて止まらなかった。
「…っ、…ぅ、あッ…?」
「ふふ、まだ不安定な身体だから、私の気が欲しくてたまらないんでしょう。疼いて仕方ないんじゃない?」
「ぁ、…っ、や、身体、あつい…ッ…」
熱くて、身体の奥が渇いて渇いてしかたない。
コメント (0)