歓迎会で、上司のセクハラからお酒に弱い私を救ってくれたひと (ページ 4)

メニューを指さしながら、桐原さんはジュースを進めてくれた。

優しい。

こんな人が上司でいてくれるんだと思ったら、本当に心強いなぁ。

「あ・・・あの。」

「何?」

「いや、なんでもないです・・・。」

「そう。飲み物、決まった?」

「あ・・・はい!」

「すみません。マスター。良いですか?」

「はい。」

「あ、えっと、桐原さん、先に頼んでください。」

「あ、じゃあ、グラスホッパーで。」

「わ、私も同じので!」

「かしこまりました。」

「大丈夫?お酒、弱いんじゃないの?」

「あ、はい。それに・・・」

「それに?」

「あの・・・桐原さんと同じの呑んでみたくて・・・。」

「そっか・・・。」

「お待たせいたしました。」

目の前には、お洒落なグラスが2つ置かれた。

ライトグリーンの綺麗なお酒が注がれている。

「じゃあ、改めて。」

「乾杯。」

「・・・美味しい。」

「気に入ってくれた?」

「はい・・・チョコミントの味・・・初めてです。」

「そっか・・・。」

「島崎さんは、あんまり呑み会とか得意じゃないの?」

「はい・・・。学生時代からどうも苦手で、あんまり行ったことも無いんです。」

「そうだよなぁ。確かに。こういう風に落ち着いて飲む方が俺も好きだな。あぁいう呑みはあんま好きじゃないなぁ。」

「ふふ。」

「どうしたの?」

「桐原さんと・・・同じ考えなのが・・・嬉しくて。」

「島崎さん、ちょっと酔っちゃってない?」

「・・・そうかもしれないれしゅ。」

「・・・。」

「・・・。」

「島崎ちゃんって呼んでもいい?」

「はい・・・。」

「島崎ちゃん、酔うと、もっと可愛いね。」

ん?

「ねぇ、キスしていい?」

え・・・?

桐原さんは答えも聞かず、私にそっと口づけした。

柔らかい感触にすっと肩の力が落ちると、桐原さんが舌を唇に滑り込ませてくる。

「ん・・・。」

チョコミントの香りと共に甘い吐息が漏れた。

甘く深く、私の口は犯されてゆく。

桐原さんが唇を離すと、透明な糸が二人の間に残った。

「ホテル行こっか。」

桐原さんが耳元で囁く。

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