「一度だけ…ねえ。」大学受験の合格祝いにおねだりされたのは―
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「一度だけ…ねえ。」大学受験の合格祝いにおねだりされたのは― (ページ 1)
「合格、おめでとう。」
「ありがとう。先生のおかげだよ。学校の担任なんて最後まで俺がK大に受かるなんて信じられないとか言ってたんだから。」
タクヤは今時の男のコとは思えない素直なコで、笑うと糸のように細くなる目と、ふっくらした頬にできるかたえくぼがかわいらしい印象を与える。
結婚し、学校をやめて3年ぶりに教える生徒に緊張していた私も、あっという間にタクヤの笑顔の前に、緊張が解けていくのを感じていた。
「でさ、先生。例の…」
「合格祝でしょ。現金ね。分かってるわよ。でもあんまり高いものは駄目よ。」
「分かってるよ。あのさ…」
そう言って口ごもりながら、私を見る目が真剣で、思わず心が揺れ動いてしまう。
「ミキ…」
とくん。
自分の鼓動の大きさに、自分で驚いてしまう。
「一度だけ…ねえ。」
そう言ってタクヤは隣に座る私の肩に手を置くと、ぐっと顔を近づけた。
「だ…」
駄目、と言おうとした私の唇はすでに滑らかなタクヤの舌と唇で絡めとられてしまっていた。
ゆっくりと味わうように柔らかく、タクヤの舌が私の中を動き回る。
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