元ナンバー1キャバクラ嬢の妻と1つのベッドで、改めて愛を深め合った夜
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元ナンバー1キャバクラ嬢の妻と1つのベッドで、改めて愛を深め合った夜 (ページ 1)
上司に連れられた高級キャバクラで、売り上げナンバー1の千秋に出会って一目惚れした。
何十回目かの指名に同伴。
何本もの高級ボトルの開封にシャンパンタワー。
根気強い投資の末、そうしてようやく掴み取ったアフターの夜。
「一目会った日から好きです…オレと結婚してください」
赤いバラの花束と婚約指輪を差し出しながら平凡な言葉でプロポーズした。
「いいよ、結婚しても」
突然のことで最初は唖然(あぜん)としていたが、状況に馴染むと千秋はオレのプロポーズを笑顔で受け入れた。
「その代わり、私が出す条件を受け入れて」
「うん、もちろん」
千秋と結婚できるなら何でも受け入れる。
心中でそう呟きながら、オレは千秋の左薬指に婚約指輪をはめた。
***
『寝室は別にして。体型崩れて今の見た目が維持できなくなるから、子供は生まない。夜の営みも、あんまり好きじゃないし疲れるから、多くても1か月に1回くらいにしてほしい』
新婚生活初日に千秋が出した結婚の条件がそれだった。
結婚したのに好きなときに求めてセックスできない。
一緒に寝ることすら許されない。
もっと千秋に寄り添いたくて、もっと近付きたくて。
(だから結婚したのに…)
新婚という期間を過ぎても、千秋との距離は遠いままだった。
ある日、残業をこなして日付けが変わるギリギリに帰宅した夜。
「千秋、ただいま」
玄関の電気を点けながら室内に声を届けるも返事はなかった。
(やっぱりもう寝てるか…)
夜更かしは肌に悪いから、と早い時間に寝る理由を千秋は簡潔に言っていた。
だから残業をこなした夜は、ほぼ顔を合わせず終わる。
(はあ…もう何日、まともに千秋と話してないだろう…)
仕事が繁忙期で残業続きな日々を振り返っては1人内心で嘆いた。
あとどれくらい、このすれ違い生活が続くのだろうか?
でもオレが働かないと千秋の思うままにもしてやれない…
延々と生まれる疲労感と孤独感に襲われながらも、スーツを脱いでリラックスしようと自室に足を進めていた時だ。
千秋の自室のドアと床の隙間から、オレンジ色の光が微かに漏れているのが見えた。
(もしかして、起きてる…!?)
「千秋…!」
久しぶりにまともに顔を合わせられると思うと嬉しくて、オレはノックするのも忘れて目の前の扉を開けた。
すると彼女が入っているであろう、ベッドの膨らんでいる部分がビクッと大きく動いた。
(起きてる…!)
「千秋ただいま!」
寝起きを邪魔してはいけないと思うも、やっぱり嬉しい気持ちは収まらない。
オレはそのまま、バサリと薄い布団をめくった。
しかし掛け布団の中から現れた、横向きに寝転ぶ千秋を見てオレは唖然とした。
ネグリジェの裾は派手にめくれて、太ももが見えて。
大きく開いたエリの隙間からは肩や胸の谷間が見えていて。
「え、千秋、もしかして…」
色っぽく乱れた姿に唖然を通り越して息を飲むオレとは反対に、千秋は頬を赤くして徐々に表情をゆがめた。
そして最終的には目に涙を浮かべ、唇を震わせながら言った。
「そうよ! 貴方の想像通り、してたわよ…1人エッチ」
「いやっ…でも、好きじゃないから、月1回にしてほしいって…」
結婚時の要求とかけ離れた姿に思わずそう呟く、千秋はまた頬の赤みを増幅させるとぽつりと溢した。
「だって貴方が好きになったのは、美しくて上品なナンバー1キャバクラ嬢としての千秋。だから私は、結婚しても貴方の前でそんな美して尊い存在でいたい。そうじゃなきゃ、意味がないの。そう思うのに、そう思うのに…貴方がほしくて、仕方ないのっ」
え、じゃあ本当はオレって…
「思ってたより千秋にすごい好かれてたの…?」
「…そうじゃなかったら、結婚なんて、しないよ」
そうだ、確かに振り返ってみればそうだ。
出かけなくても化粧をしている。
肌や髪の手入れも未だに入念にしている。
ネイルも常に綺麗に施してあって、剥げたり伸びているのも見たことがない。
少なくともオレが見てる前で身なりに手を抜いたことはなく、結婚前と変わらず美しくて上品な千秋のままだった。
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