彼氏に傷つけられた私を慰めてくれたのは彼氏の男友達

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彼氏に傷つけられた私を慰めてくれたのは彼氏の男友達 (ページ 1)

「あいつ不感症なんだよなぁ」

 ゼミの研究室に入ろうとしたとき、聞き覚えのある声がした。

(……え?)

 ドアの隙間からおそるおそる覗く。

 数人の男子大学生が屯する部屋にいたのは……

「うわ! ひっでぇなお前!」

「マジだって! セックスしていてもぜんぜん気持ちよさそうじゃねぇし。人形抱いているみたいっていうか」

 ゲラゲラと笑う……私の彼氏だった。

「でもミカちゃんかわいいじゃん。スタイルいいし」

「そりゃ、まぁな? あ、締まりはいいぜ?」

 こみ上げてくる不快感に私は口元を抑え、その場から逃げるように立ち去る。

 なんとか泣くまいと堪えたけれど……外に出る前に涙が零れた。

 確かに彼の愛撫では全然イケなかった。

 正直セックスが苦痛だった。

 でも、イケない自分が申し訳ないと思っていたし、セックス事情を他人に明かすのは相手に悪い気がして誰にも相談できなかった。

 それなのに。

「……ひどい」

 ぽつりとつぶやいた時だ。

「ひでぇよなぁ」

 すぐ後ろから聞こえた声。

 思いのほか声が近くて驚くと、声の主は膝に手をついて息をしている。

「リョウ君……?」

 長身でイケメンのリョウ君は、私の彼氏の友達で……さっきの研究室にいた一人だ。

「ミカちゃん足早ぇ……あ、大丈夫。俺以外の奴らはみんな気が付いていなかったから」

「……そう」

 何て返したらいいのかわからず、戸惑っていると、リョウ君は私の手を取る。

「ミカちゃんさ、これから俺の部屋に来ない? 言われっぱなしとか癪でしょ? 俺、案外聞き上手だと思うけど」

 リョウ君はにこっと爽やかに笑い、私の手をとった。

「……ありがとう」

 道中、リョウ君は明るい口調で話しかけてくれた。

 私の一歩前を歩くのも、涙をこぼす私が人目に付かないように庇ってくれたからみたい。

 リョウ君の部屋はちょっと散らかっていて、恥ずかしそうに片づけてくれた。

 これしかないから、と勧められた缶チューハイを飲みながら最初は愚痴っていたけれど……リョウ君の話が面白くて、彼氏に言われた事なんか笑っているうちにどうでも良くなってきてしまった。

「そういえばさ。このアパート、大学から近くていいんだけれど、出るらしいんだよね。アレが」

「え……アレって……?」

「そりゃぁ、今ミカちゃんの肩にのっかっているものでしょう」

「きゃああああ!」

 幽霊がものすごく苦手な私は思わずリョウ君に抱き着く。

「あはは! 嘘だって!」

「もう! いじわる!」

 あわてて離れようとしたけれど、リョウ君は私の背中に腕を回し、ぎゅっと引き寄せる。

「リョウ君……?」

「はぁ……癒される……。ミカちゃんすげぇいい匂い」

 すんすんと髪の匂いをかがれるのが恥ずかしくて、抵抗しようとしたけれどびくともしない。

 そして

 ――ぴちゃっ……。

「ひゃん!」

 リョウ君は突然、私の耳をはむっと唇で甘噛みし、舌でなぞる。ぞくぞくと背筋に何かが走る。

「あ……だめ、それぇ……! リョウ君、怒るよっ」

 一生懸命抵抗するけれど、リョウ君は私の抗議なんて聞き入れず、そのまま耳の奥をぴちゃぴちゃと音を立てて舐める。水音がダイレクトに伝わり、恥ずかしくておかしくなりそうだった。

「あぁっ……だめ、だってばぁ!」

 リョウ君はゆっくりと舌を耳から首筋に走らせ、鎖骨をちゅうっと吸う。

「んんんっ!」

 びくん、と身体が跳ねる。

 ――どうしよう……気持ちいい……。

 耳や鎖骨を舐められているだけなのに、アソコがじゅんっと潤むのを感じる。

「ミカちゃん、感じてる?」

 ちゅちゅっと音をたてて肌を吸っていたリョウ君と目が合う。

「ち、ちが……っ」

「嘘。だってすっげぇ心臓早い……」

 むにっと、リョウ君は服の上から胸を掴む。

 優しく形を確かめるようなそれは、彼氏とは全然違う揉み方だった。

「ね、俺とえっちしよ?」

「そ、そんな急に……っ」

「急にじゃないよ。俺にとってはね」

 どういうこと? と、続ける前に噛みつくようなキスをされた。

「ん……ふぁ……っ」

 唇を舌でなぞられ、口内をまさぐられ……。

 優しくてふわふわするのに、くちゅくちゅといやらしい水音が部屋中に響く。

「ミカちゃん、俺で気持ちよくなってよ。不感症なんかじゃないって俺が証明してあげる」

 ふたたびぎゅっと抱きしめられる。

 罪悪感がないわけじゃない。

 でも……。

 身体の奥が熱い。

 リョウ君の優しくて逞しい腕の中にいると、もっとこうされていたいという思いの方が強くなる。

「いい?」

 リョウ君が不安そうに私の顔を覗きこむ。

 私がこくんと頷くと、顔を真っ赤に染めて微笑んだ。

 

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