「千星ちゃん、具合は大丈夫?悪化させてないかな」
わたしを抱きしめたまま、利人さんが心配そうな顔をする。
「悪化したかも」
「どこか痛い?寒気がする?」
わたしの答えに利人さんがお医者さんになった。
「うーん。胸がドキドキする」
「ちょっと脈、診せて」
「そんなの意味ないよ」
手首に触れようとした手を頬に当てる。
温かくて気持ちいい手。
「お医者さんじゃ治せない病気だもん」
「それって、もしかして温泉も効かない病気かな?」
「そう」
「僕にもうつってる病気だ」
二人して恋の病にかかってしまった。
きっと、熱に浮かされる。
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