アルバイト先で出会った大学生のカレ。誘われたまま家について行くと…。 (ページ 3)

「ねえ、入れても…いい?」

「だめ。1回出すまで、入れさせない」

 再び私は、恭介のものを口に含む。

 こんなに猛り狂ったものは、久し振りだ。

 初めて自分が主導権を握ってセックスすることに、私は興奮していた。

 フェラチオしながら濡れる、というのも、私にとっては初めてだ。

 多分…。フェラチオそのものに感じているのではなく、それによって、恭介が示す反応に濡れているのだ。

「歩美さん、もうだめ、イッちゃう…!」

 そう言うと、恭介は絶頂に達していた。

 勢いよく吹き出した精液で、思わず私はむせる。

 慌てたように、恭介はテーブルの上にあったお茶を取って、手渡してくれた。

 それを、精液ごと飲み下す。

 思えばそれも、私にとっては初体験だった。

 1度射精したというのに、恭介のそれは、まだ固さを失っていない。

 媚びるような声で、彼は私にすり寄って来る。

「ねえ、歩美さん…入れさせてくれるよね?」

 私は黙って頷いた。

 年上の女としての、余裕の笑みを浮かべている自分を自覚しながら。

 恭介は慌てて、引き出しの中を引っ掻き回し、コンドームの箱を取り出した。

 彼は挿入を急ぐように、封を切るのももどかしそうに装着した。

 私は足を広げて、恭介を迎え入れる体勢を取った。

 それを観賞する余裕もないのか、彼は私に覆い被さり、手探りで挿入した。

 ヒトの体の一部とは思えないほど硬直したそれが、私の体を貫く。

 恭介の背中に手を回すと、びっくりするほど汗ばんでいる。

 耳元で、荒々しい息遣いが聞こえる。

 セックスそのものではなく、恭介の汗や息遣いといったものに、私は感じていた。

 そして、セックスに慣れていない彼の、やや乱暴な動作にさえ、その初々しさに濡れていた。

 獣のように私を貪る恭介を、無理矢理引き剥がした。

 驚いている彼を仰向けに寝かせて、その上にまたがる。

「こんなこと…したことないでしょう。下から入れてみて」

 恭介は欲望に瞳をぎらつかせ、私の言うことに従った。

「歩美さん…僕、またイッちゃう…!」

 私は何も言わず、恭介の胸板を撫で回していた。

 恭介のものが、私の中で、大きく脈動した。

 全部終わると、彼はスポーツドリンクを持ってきてくれた。

「ねえ、歩美さん…結婚してるよね?」

 唐突な質問に、私は驚きながら答える。

「えっ…。独身だけど」

「いくつ?」

「34歳」

「フリーター?」

 私は、今の状況を簡単に話した。

 恭介はびっくりしているようだった。

「恭介君は?」

 私が訊き返すと、恭介は化学を専攻する大学院生だと言った。

 それで、学生さんっぽく見えるのも、フリーターほど世慣れていないのも、納得がいった。

「ねえ、結婚していないなら、これからも会えるよね?」

「そうね」

「ひとり暮らしなら、誰にも遠慮しなくていいよね?」

「大丈夫」

「僕は…これまでに、ひとりしか女の人と付き合ったことがないんだ。それも、3か月だけ。歩美さんとは、そんなことにしたくないんだ。これから、真剣に、僕とのことを考えて欲しい」

 さっき恭介は、25歳だと言っていた。

 私より、9歳も年下だ。

 それでも私たちは、お互いの部屋で、夜ごと求めあった。

 恭介は、思ったほど一方的ではなく、相手を思いやる優しさも兼ね備えていた。

 恭介よりは異性経験のある私が、彼に教える格好だったけれど、それに満足している自分が、どこかにいる。

 ほとんど女性経験のない恭介の初々しい反応に、濡れている。

 そんなある日のことだった。

 私は会社から呼び出しを受けた。

 思った通り、アルバイトのことだった。

 でも、それを責められたのではなく、そこまで回復したのかと訊かれただけだった。

 私がいない1年の間に、それまでパワハラ三昧だった上司は免職され、新しい人が赴任してきていた。

 新しい上司が病院に同伴すると言い、それで医師からは復職の許可が出た。

 これからまた、忙しい日々が待っている。

 恭介のことは、忘れざるを得ないようだった。

 あのことは、束の間の休息に過ぎなかったのだろう。

 夢から覚めるように、私は現実に引き戻された。

-FIN-

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