事務所とマネージャーに仕組まれたルール無視の何でもアリの交流会で…
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事務所とマネージャーに仕組まれたルール無視の何でもアリの交流会で… (ページ 1)
“アイドルと行く!湯けむり温泉ツアー”
抽選で選ばれたアイドルファン12人と、アイドル3名で温泉旅行をするらしい。
日程は1泊2日。アイドルに無理なことはさせないルール。
突然、こんな企画を持ち掛けられた。
この様子が後日雑誌で特集されるのだと、事務所とマネージャーは乗り気だった。
当然、私には断る余地なんてなかった。
(うう……私ももう21歳だもん……後がないし仕方ないな)
温泉に向かうマイクロバスの中でメイクやスケジュールの確認をしながら、何度となくため息をつく。
他の2人……普段はそれぞれソロだけれど、たまにユニットを組んだりするメンバーでもある、サラちゃんとマコちゃんは楽しそう。私がため息をつくたびに、大丈夫だと励ましてくれる。
いくら高級旅館でも、水着とタオル着用での混浴体験とか、夕食時ファンにお酌するとか、モーニングコール代わりにファンを起こしに行くとか、嫌じゃないんだろうか。
私の不安をよそに、マイクロバスは旅館に到着した。
待ち構えていたファンたちが、私たちがバスから降りるなり、歓声を上げる。
その中に、私を初期から応援してくれている、タカシの姿があった。
なぜだかほっとする。不安が少し、晴れた気がした。
興奮して紅潮した顔、汗でべとついた手。
ひとりひとり握手して、営業スマイルを振り撒く。
(なあんだ、握手会と変わらないじゃない)
うまくできたことにほっとして、浴衣に着替え、宴会場に向かった。
食事の前に、ちょっとしたライブで数曲歌い、挨拶をして、乾杯をして、お酌タイム。
なんてことない談笑に、ところどころ下ネタが混ざったりするのは、きっとお酒が入っているから。
「やーん、ダメですよぉー!」
「やめてくださいー!」
2人の声だ。笑ってはいるけれど、切羽詰まっている。
お酌しているマコちゃんの胸を、ファンが触っていた。マコちゃんは、ビールの瓶を両手で持っているために、振り払うことが出来ない。サラの方はお尻を触られている。
「あんなのダメじゃない!」
立ち上がろうとした私を、タカシの手が止める。
待っていたように、次々と伸びる手。
抵抗する間もなく、また座らされてしまった。
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