失恋で傷ついた心ごと大切に優しく癒やしてくれるセラピスト (ページ 5)

「そろそろ、行こうか?」

気まずい時間は、甘い誘いで終わりを告げた。

「うん…//」

なるべく、照れないようにしたいのだけれど、なかなかそうもいかない。

ほおがじわっと熱くなるのを感じうつむいた。

「306」

どこかのテーマパークを思わせるような可愛らしいプレートをじっと見つめていると、

「どうぞ。」

と章彦さんが部屋のドアを開ける。

「あ、うん。」

一通り部屋を見渡して、ソファに腰掛ける。

「社会科見学ですか?笑」

私はほっぺを膨らませて、章彦さんのほおをつねった。

「冗談だって。」

彼はおもむろにテレビのリモコンを手に取り、電源を入れる。

いつもこうなのだ。

大真面目な顔をして、お昼のニュースを見ている。

ホテルまで来て、何をやってるんだ、この人は!?と最初は思った。

でも、違う。

経験の薄い私を緊張させないようにという章彦さんなりの気遣いなのだ。

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