失恋で傷ついた心ごと大切に優しく癒やしてくれるセラピスト (ページ 2)
3限の講義が終わると、ケータイが震える。
「今から、会える?」
最近始めたアプリで出会った人。
初めは、ついに私もここまで落ちたのかと思った。
でも、今は急に呼び出されるというのはなかなか気分のいいことなのだとも知ってしまった。
必要とされているという感覚、 それが純粋なものでなかったとしても。
落ちたことに気づけなくなると、案外堕ちるのは早い。
章彦さんと会うのは今日で3回目だ。
駅前の喫茶店。
窓際の席に座る。
チーズケーキと紅茶のセットを頼んだ。
ケーキの甘さがかったるく、二杯目の紅茶が渋くなった頃、
「ごめん、待った?」
茶色のジャケットとズボンのセットアップにストライプのシャツ。
ふわっと優しい柔軟剤の匂いがする。
章彦さんの匂い。
「ううん。もう半分食べちゃったけど笑」
「あぁ、…もう一個頼む?」
「そんなに要らないよ」
「そっか…笑」
自分の不器用さを隠すみたいにうつむく彼は、12歳も年上には思えない可愛い人だ。
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