地味でつまらない私が扇情的に変貌して色欲に包まれるスタジオ撮影 (ページ 3)

顔の上を滑る、メイクブラシの感触。

冷たい手で伸ばされるファンデーション。

唇に紅筆が踊る。

自分でも、こんなに丁寧にメイクしたことはなかった。

わたしの顔は、よく言えば上品だけど、悪く言えば地味顔だ。

メイク映えしない顔だと自分で思っているから、いつもささっと済ませてしまう。

しっかりメイクする必要がないほど、ちんまりとまとまってしまっているから。

「出来たよ。新しいまどかちゃんの誕生だ」

手に鏡を握らされ、おそるおそる目を開ける。

手鏡のなかには、情熱的な瞳をした女性が映っていた。

強く、意志的な瞳は黒くキラキラと輝いていて、それでいてほとばしるような色気がある。

唇はふっくらと甘いカーブを描いていて、悩ましげに開かれている。

これが、わたし?地味でちんまりとした、つまらない顔の女はどこにもいなかった。

手鏡を持ったまま呆然としていると、その様子を見た男は、やってきた時と同じようにひっそりと扉から出ていった。

「おーっし!メイクも整ったところで第二ラウンド開始しようぜ!」

貴博の声が高らかに響いた。

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