電車で隣に座った男に狂わされていく私。ストーカーになり、男を追う私は電車の中で… (ページ 6)
「私のスマホ、返して」
「そんな簡単には、返さない」
私は、泉に腕をつかまれて、猥雑な感じの繁華街を歩いている。
「名前は?」
「教えない」
「まあいいや。スマホを見ればわかるから」
「…奈津」
「奈津のことがずっと好きだったんだ…」
え?
「とか、言われたかった?」
私は首を横に振る。
そんなことは期待していない。
でも、何に突き動かされて、泉を追いかけたのか、わからない。
「よかった。そんな頭の悪い女じゃなくて」
泉の人を小馬鹿にした話し方に、少し慣れてくる。
「これから、私をどうする気?」
「連れ込んで、調教する。頭がおかしくなるまでイかせて…楽しみ?」
頭なら、もうとっくにおかしい。
でも、調教という言葉がすとんと胸に落ちて、身体の深いところを波立たせる。
おそらく、それが求めていた答え。
ラブホだらけの通りに入り、泉はその中の一軒に躊躇なく足を踏み入れる。
私は泉に、絡め取られる。
泉の手の中に堕ち、もう身動きができない。
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