処女恋愛小説家、強面担当さんをからかい過ぎちゃった? イッたばっかりなのに手加減なし! 気持ち良すぎておかしくなる……
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処女恋愛小説家、強面担当さんをからかい過ぎちゃった? イッたばっかりなのに手加減なし! 気持ち良すぎておかしくなる…… (ページ 1)
「やばい。いよいよ、まじでやばい」
私、まひるは真っ白の原稿を前にうなだれる。
「締切は今日だけど、なーんにも浮かばないや……」
焦りは募るが手は動かない。
休憩しようと、のろのろと立ち上がり、ソファに寝ころぼうとすると
「やばいなら寝るんじゃねぇ!」
和沢さんが私のお尻を丸めた雑誌でパァン! と叩いた。
「あ痛ぁ! ひっどーい! ぼーりょくはんたーい!」
「やかましいわ! まひる、お前腐っても恋愛小説家だろう? 担当の俺が来るってわかっている日くらいパジャマから着替えろ!」
いつの間にか私の部屋に君臨する担当編集者の和沢さん。
眉間の皺がなければイケメンに片足つっこめるルックスなのだけれど、その表情はいつも不機嫌そうに曇っている。
一見して、ヤクザのみたいに強面。
でも。
私は、彼が表情と相反して面倒見のいい性格ということを知っている。
今だって怖い顔だけれど怒っているわけじゃない。
なんだかんだ、和沢さんは私に甘いのだ。
「いいじゃないですかぁ、私と和沢さんの仲ですし。私、和沢さんになら寝起きも下着も見られても恥ずかしくないしぃ」
へらへらと笑うと、和沢さんの眉間の皺がより一層深まった。
「あのなぁ……少しは恥じらいを持て……」
和沢さんは大げさな溜息の後に私を再び机につかせる。
「さっさと原稿を仕上げろ」
「むぅー……」
キーボードに手を置くも……何も思い浮かばない。
私、まひるが恋愛小説家になって早五年。
自慢じゃないが、こんなことは初めてだ。
「まひる、何かあったのか? 鳴かず飛ばずのお前の長所は書くのが早いことだけだろう」
「それ、結構私のことディスってません? ……私、昨日エゴサーチしちゃったんですよ。そしたら、結構な割合で『少女まんがみたい』とか『リアリティがない』って書かれていまして」
「…・…それは前から俺も言っていることだが?」
「で、恋愛におけるリアリティってなんやねーんって、迷っているわけです。助けてください和沢さん」
「人の話を聞かないくせに助言だけは求めるのかお前は……。そうだな、今書いている短編は同い年の女性が主人公だったよな? それとなく、まひるの実体験を入れてみたらどうだ? その、ときめいた瞬間、とか?」
「ときめきねぇー……それが分かれば苦労なんてしないんですよ……」
わかってないなぁーと私が首をすくめると、和沢さんの動作が止まる。
「まひる。薄々聞くべきか悩んでいたが、今までに何人の男と付き合った?」
「いやだぁーもう和沢さんったら! それこそセクハラですよーう。まぁ隠す必要もありませんけれどね! ゼロです!」
私はえっへん! と、得意げに胸をはった。
「すごくないです? 百パーセント現実の男に興味がないからこそできる妄想でプロになれた私の才能!」
それはすごいな、と褒めてくれることを期待したのに。
和沢さんはしばらく両手で顔を隠していた。
そして
「まひる」
「は、い……?」
突然立ち上がり、私の腕をぐいっと引き寄せた。
ぽすっと、和沢さんに抱きしめられると、髪を優しく撫でられる。
その骨ばった大きな手は猫を可愛がるようにさらりを髪を梳いた。
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