結婚式の二次会で偶然会った大好きな上司に酔ったい勢いで告白したら―!? (ページ 4)

「濡れたまま帰ったら風邪引くだろ?シャワー浴びておいで。フロントに預けていた君の荷物も後でこっちに届けてもらおう」

相変わらずてきぱきと仕事が早いなぁ、この人――。

なんて、感心している場合じゃない。

「なんか、本当にすみません。このくらいすぐ乾くし、大丈……」

「ああ、もう。煩い」

課長は不意に私の手を握り身体を引き寄せた。

やっばい。

この人、香水の香りまでかっこいい。

頭の中がくらくらして、身体が熱くなるのは、課長の醸し出すフェロモンのせいだ、きっと。

「君が大丈夫っていう時は大抵、大丈夫じゃない時。そんなことにも気づいてないと思ってた?」

色気を含んだ低い声が耳朶をくすぐる。

「ちょ……。あの、困るんです。私、渡辺さんと違って結婚の予定もないですし、うっかり酔った勢いで課長と変な関係になったりして、仕事続けられなくなるの、本当に」

くしゃり、と、課長の綺麗で大きな手が私の頭を撫でる。

彼がパソコンを叩くたびに、書類をめくるたびに、目がいって仕方のない骨ばった大きなあの手が。

夢みたいな現実に、心臓が、かつてないほどうるさく音を立てている。

「俺のこと好きなんだろう? 自分で言ってた」

「酔った勢いで、つい嘘を」

見上げて否定しようと思った言葉は、課長の唇に飲み込まれた。

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