ケンカした恋人に浮気を妨害され、強引に求められる私
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ケンカした恋人に浮気を妨害され、強引に求められる私 (ページ 1)
会ったら必ずセックスする、私に拒否権はない。
そんな暗黙のルールが、私と恋人の理の間にはある。というよりも彼が勝手に作り出したんだけど。
理と付き合い始めて数年、まるで仕事のノルマをこなす感覚でそのルールに従ってきた。
セックスの内容も至ってシンプルだ。
理の性器を口に含んで彼が満足するまで舐めてしゃぶって。
それからは前戯すっ飛ばして挿入されて。
これまた理が満足するまで受け入れ続けて。
最後に飛散される熱を避妊具越しに受け止めて。
傍から見れば味気ないと言われそうだが、セックスに興味もなければ理想もない私にとっては意外と心地よかった。
ルールにさえ忠実に従えば、後は普通の恋人同士と変わらないし(喧嘩もなく円満だし)。
むしろ単純なノルマで理とつながれるなら、何も気にならなかった。
そう思っていた。
そう思っていたが、初めてそのノルマをこなせない日があった。
体調が悪いとか、そんな重大な理由じゃない。
“面倒だ”
“そんな気分じゃない”
そんな雰囲気を漂わせて暗に拒んだら、その日の理とのデートは一方的にお開きになってしまった。
***
何というか、ノルマを放棄した私に責任があるんだけど…謝る気持ちにもなれず、連絡せずに過ごすこと半月。
しきりにスマートフォンを確認するも、理からの連絡もなかった。
「どうしたんですか、愛華さん。そんな浮かない顔して」
不安と惰性半分の気持ちでスマートフォンの画面を確認していると、心配そうな男性の声が鼓膜を刺激した。
「ううん、何でもない」
片手のデジタル機器をカバンに押し込め、声がした方へ顔を向けながら返事をした。
そこに居たのは名前が記憶にない、中性的な顔をした男性。
(なんて名前だっけ、彼…と言うか、知り合いだっけ)
グルグルと考えて今の状況を改めて思い出した。
(そうだ、今は数合わせで同僚の女の子の合コンに参加してたんだ…)
「そう、安心した」
私が応えると、彼は言葉通り安堵の笑みを浮かべた。
(…思い出せないな、名前。でもまあ、いいか。数合わせで呼ばれただけだから、どうにかするつもりもないし)
私はグラスに残っているカクテルを一気にあおりながら、みんなの輪に入って適当に話を合わせた。
***
ほろ酔いになった頃合いで、合コンはお開きになった。
気に入った男女同士で2次会に向かう彼らを尻目に、私はそそくさとこの場を後にしようとした。
「待ってください、愛華さん」
すると、さっきの男性が再び私に話しかけてきた。
「何かあったでしょうか?」
「あの…時間あったら、少しでいいので、この後一緒に過ごしてくれませんか?」
どうやら彼に気に入られたらしく、私は2次会のお誘いを受けた。
時間があるかと聞かれれば…ある。
気力は…まだある。
それに何だか…少しだけ人恋しい。
ほろ酔いでまだ意識や理性があるとは言え、判断力は鈍くなっていた。
「…じゃあ、少し、だけ」
誘いを断らず彼を連れてその場を後にした。
「それで。この後はどうしたいですか?」
「愛華さんに合わせます!」
(合わせるって言われてもな…)
「だったら…私の家、来ます?」
(それなら疲れても、追い出してすぐに寝られるし)
「は、はいっ…喜んで!」
男性が嬉しそうに返事をして交渉が成立したところで、私たちは目的地に向かって歩を進めた。
「オレ今日、数合わせで無理矢理誘われたんですけど、愛華さんに会えたから来てよかったです!」
「…何で私なんですか? 何もお話してなくて、そんなに関係も深められてなかったのに」
「それが逆に気になったというか…どんな人なんだろうって、すごく興味を惹かれたので」
「そうですか」
興味を惹かれた。
ストレートにそう言われたのは久しぶりのせいか、まるで少女漫画のヒロインのようにドキリと気持ちが高鳴った。
くすぐったいトキメキを覚えながら、家の前に着いた時だった。
「…あ」
インターホンを鳴らす人影を目にして、思わず声を上げてしまった。
「…どうしたの、急に」
無感情な表情を向ける人物、理に静かに問いかけた。残る理性で、平常心を維持したまま…。
「えっ、愛華さん…まさかこの人…」
驚きで震える声で問う彼に何か答える前に、口を開いたのは理だった。
「こちらは?」
「えっと、合コンで知り合って…」
「そうか」
最後まで答える前に言葉を切ると、理は今度は男性の方に意識を向けた。
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