最低最悪の夜を救ってくれたのはよく顔を合わせるスーパーの店員さんで…待ち遠しい週末 (ページ 3)
「でも…私、こんなの知らないです…」
頭の中がパニックになった瞬間、ドアをノックする音がした。
「失礼します」
入ってきたのはカイ君だった。
「主任、こちらのお客様は万引きされてないです」
きっぱりとした声が狭い事務所に響く。
「カメラをチェックしたけど、映ってます」
カイ君はテキパキと防犯カメラの映像をモニタに映した。
私とさっきの女の子たちのうちの一人がモニタの中で動く。
芳香剤を見ていた私の背後に女の子が忍び寄り、トートの中に何かを入れた。
「全然、気づかなかった…」
真剣に芳香剤を見ていた自分がなんだか恥ずかしい。
「これは…失礼いたしました!」
中年の男性が急に立ち上がり頭を深々と下げた。
「あ、いえ、誤解が解けて良かったです」
「後日きちんとお詫びをさせて頂きます」
「いや、大丈夫ですから」
これ以上、面倒なことに巻き込まれるのは嫌だ。
「本当に申し訳ありませんでした。この子たちにもきちんと対応しておきますので」
「そうですか。よろしくお願いします」
私は頭を下げて立ち上がった。
さっさと帰りたい。
事務所を出て溜息を吐いた。
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