引っ越し作業の依頼を受けてやって来た運送業者の男の子―その逞しい肉体と優しげな雰囲気に身体の奥がくすぐられ…

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引っ越し作業の依頼を受けてやって来た運送業者の男の子―その逞しい肉体と優しげな雰囲気に身体の奥がくすぐられ… (ページ 1)

三十歳を過ぎて幸運にも転職できて、心機一転、引っ越しも決めた。

いい部屋が見つかって、後は引っ越すだけ。

…なんだけど。

「引っ越し屋さんって高いんだな…」

思わず独り言がこぼれるくらい、見積もりに書いてある金額は高い。

洗濯機と冷蔵庫を買い替えるから、引っ越し費用は抑えたい。

「やっぱり、自分で運ぶしかないかな」

ネットで調べたら、運送業者を使って自分も作業をすると安く済むことが分かった。

体力には自信があるし、何より費用の節約になるのはありがたい。

私はすぐに予約をした。

「おはようございます」

小さなトラックに乗ってきたのは、若くて可愛い感じの男の子。

たぶん、わたしより十歳近く年下だ。

「今日はよろしくお願いします」

にこっと笑っても、アーモンド形が崩れない目がキラキラしている。

差し出された名刺には、カイという名前があった。

「…よろしくお願いします」

眩しくて思わず目を逸らした。

すっぴんで、しかも捨てるつもりの汚いジャージとTシャツ姿の自分が恥ずかしい。

「作業、かなり手伝ってもらいますが大丈夫ですか?」

「あ、はい。大丈夫です」

「しんどくなったら、すぐに言ってくださいね」

微笑みはどこまでも爽やかで、今日の青空みたいだ。

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