鍋パーティーだったはずが、いつのまにか男二人に弄ばれる淫らな宴に発展! (ページ 2)

 外は思ったよりも冷え込んでいる。

「さむっ!」

「あー、手袋カバンの中だ」

 千尋がそう言うと、佳樹がさっと千尋の手を取り、自分のジャンパーのポケットに入れる。

「何よ」

「寒いよりましだろ」

「…うん」

 千尋は酔いが一瞬で冷めた気がした。楽しい時間と、美味しいお酒、そして佳樹の手に触れた千尋はそれ以上が欲しくなった。

 彼女がいるのにさらっと千尋をときめかせる佳樹にも、腹が立ったのかもしれない。

「ねえ佳樹、こんなことされたら普通は期待しない?」

 明るく冗談に聞こえるように千尋は言ってみた。

 すると、佳樹がすっと千尋を抱き寄せ、顔を近づけ優しくキスをした。

 まだ雪が残っている住宅街が、まるで別世界のように感じる。もちろん驚いたけれど、時が止まればいいのにと思うほどの穏やかな時間。そして柔らかい佳樹の唇。

 照れくささを隠すためか、佳樹が千尋をもう一度抱き締める。その行為はキスよりもどきどきして、千尋はどんな顔をして佳樹を見ればいいのかわからなくなっていた。

 十秒ほどのこの二人の時間は、お酒のせいなのだろうか。

 不思議と千尋は彼女のことを考えなかったが、妙によそよそしくなった二人は、コンビニで肉まんを三つ買い早足で帰る。

 二人の手はしっかりと繋がれたまま、家に着いた。

「千尋、待って」

 先に入る千尋を佳樹が後ろから抱きしめた。

 ダウンジャケットを着た二人はもこもこしているのに、千尋は佳樹を十分に感じていた。くるっと振り返り、今度は千尋からキスをした。

 はっきりと佳樹の唇の感触を味わって、千尋は玄関の扉を開けた。

「遅いぞー」

「うわっ、空気が凍りそう!」

 きゃっきゃと騒ぐ三人が、二人を和ませる。

「私、肉まん食べたら帰るわ」

「マジか。じゃあ俺も帰るわ。明日朝早いからさ」

「仕事?」

「違うんだけど、ちょっと予定があって」

「えー、女だろ?」

 地元の集まりなんて大体がこんな感じだろう。思い切り楽しんでも帰る場所が近くにある。だから気軽に集まれる。

 結局、肉まんを食べた二人は本当に帰り、佳樹の部屋には三人が残った。千尋、佳樹、そして千尋に興味がありそうな先輩だ。

「俺、少し寝て帰っていいか?」

「いいですよ、毛布いりますよね」

「ここで十分だけど」

 こたつで動けなくなっている先輩は、もうすでに眠そうな顔をしていた。そして千尋も、丁度良い温かさのこたつと白ワインが本格的にまわってきて、とろんとし始める。

「横になるわ」

 先輩がそのまま横になった。千尋の右に先輩の顔があり、数分後にはすーすーと鼻息が聞こえる。

「私もちょっと横になりたい」

 千尋は先輩に背中を向けて横になった。それを見た佳樹が千尋と向かい合うように横になり、千尋の頬に手を乗せた。温かくて大きな手はすっぽりと千尋の顔を包み込む。

 またキスがしたくなった千尋だが、そのまま欲望が止まらないこともわかっていたので、自分からは仕掛けずに目を閉じた。

 ところが、佳樹の温かい手が心地よく、すっかり安心したのだろう。千尋はムラムラを誤魔化したまますぐに眠りについてしまったのだ。

*****

 どれぐらいの時間が過ぎたのだろう。

「うぅん…」

 ふと、千尋は自分の体が浮いているような、くすぐったい感覚に襲われた。夢に入る前の感じと似ているが、何となく夢じゃないことはわかる。

「はぁっ…」

 寝息が吐息に変わる。右側に寝ていた先輩の手が千尋のニットワンピースをめくり、レギンスの上から太ももをずっと撫でていた。

 ところが、その手がお尻にすっと回ったとき、千尋は完全に目覚めてしまった。
 
 …触られている!先輩に!

 目を閉じたまま、頭の中でこの状況をどうするべきか考えるのだが、先輩の触り方は決して乱暴ではなく、どちらかといえば千尋好みでいやらしい。

 だから、千尋はすでにパンティーを濡らしていて、このまま自分で慰めてしまいたいほどだ。

 先輩が起きているのか、夢の中の誰かと間違っているのか、千尋には確認しようがない。

 脱力していた千尋の体に、少しずつ力が入る。

 その時だった。左側から佳樹の手が伸びてきて、千尋の手を強く握った。思わず千尋は目をぱっちりと開けると、暗闇の中で確実に佳樹と目が合った。

「あっ…」

 千尋が思わず変な声を出したので、先輩の手が止まった。

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