かっこいい課長をロックオンして飲み会に挑んだら意外な形になっちゃった (ページ 2)

「じゃあ、俺帰るから」

「え!? 清水さん放って行っちゃうんですか」

「だって、もう仕事終わったし」

 じゃあと言って、隣の部署の人は帰って行ってしまった。自分の部署の上司なのにー!

 あたしは途中で買った水を飲ませようとキャップを捻った。どうやって飲ませよう。

 そうだ。口移しで飲ませればいいんだ。

 …寝てるし、大丈夫だよね。

 あたしは水を口に含み、顔を清水さんに近づける。うわ、やばい。めっちゃかっこいい。

 唇をそっと押し付けると、清水さんの口が少し開いた。そこから水をちょろちょろと流し込む。

 もう一度、水を含み、顔を近づけ、唇を合わせる。

 すると、ぐいっと引っ張られて唇を強く押し付けられた。

(起きたの?)

 彼の目を見れば、とろんと溶けた目。

 彼はあたしの唇を味わうように食む。段々と気持ちよくなってくる。

 キスが上手なようで、あたしはすぐに彼に身をゆだねて、バードキスをしていた。

 そのうちには舌が口内に分け入ってきて、深い接吻になった。舌が上顎をなぞってきて、ゾクゾクする。

 あたしは清水さんとキスしてるんだあ。蕩けた頭でそんなことを思った。

 唇を離すと、惜しくなってまた重ねた。どちらとも分からない唾液が口の中で混ざり、それを飲み込む。

 荒い息をお互いでしていると、清水さんがそっとあたしを抱きしめた。

(え、あたし、今日知ってもらったばっかなのに、こんなに大切に扱われている!)

「…」

「え?」

 あたしはその呟きで頭をがつーんと殴られた感覚になった。彼から聞こえたのは女性の名だ。

 そういえば、清水さんは結婚していたんだっけ。酔って間違えたのかな?

 でも、とあたしの中の「でも」が声をあげる。でも、それでもいい。

 彼に抱かれるなら本望だ。ばっちこい。

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