ある日夢に犬猿の仲の幼馴染が出てきて、夢の内容がマンガみたいな状況で…!? (ページ 2)

午後11時。

明日は土曜日なこともあって、お互い仕事は休み。白熱した時間はあっという間に過ぎ、勝敗は同点に終わった。

ゲームの電源を消し、テレビ画面に切りかえる。夜のバラエティ番組が映し出されて、演者が笑っているのが部屋に響く。

「この人老けたよねまじ」

「…わっかる、一気にな」

「てか好きな子出てんじゃん」

「…んー」

「…」

ぼんやりとテレビを見ながら私たちは何のとりとめもない話をする。どうやら海里はその途中に眠ってしまったようだ。

…最近、本当に夜更かしができなくて困る。それは海里も同じなのだろうか。

しかも、こんなに長くゲームをしたのは…久しぶり…で…。

*****

目を覚ますと、薄暗い、小さな部屋で目が覚めた。私はシングルベッドで寝ていた。明らかに自分の部屋ではないこの部屋に、一瞬でこれは夢だというのが分かった。

隣には、まさかの海里が、同じベッドで寝ている。…あれ、床で寝てたよな?と思いながら、夢の中の私は海里を起こす。

「…ね、海里。…起きて」

「…んー…?」

海里が眠たそうな声で返事をした。海里は私のほうに寝返りをうって、顔を見たかと思うと、急にびっくりして飛び起きてしまった。

「なっ!?な、何だよ!?」

「…いや、なんでも、ないけど…」

「…俺、なんで有果と一緒に寝てんの?…つか、ココどこ?」

「…知らないけど、夢でしょ」

なぜか海里は慌てふためいて、顔を赤らめている。なぜそんな反応をしているのか、私には到底わからなかった。…夢なんだから身を任せればいいのに、そんなことを思っていた。

「…つーか、…これ、何だ?」

海里は、自分の寝ている方から見た床に、何か落ちているのを見つけた。

封筒に入った、手紙のようなものだった。海里はそれを開けると、その内容に愕然とした。

「…!!」

「何、何が書いてあるの?」

「みっっ、見んな!!」

「なっ…、なんでよ?…みせて…ってば!」

「あっ、ちょ…!!!」

「…何、これ…」

海里は、私がのぞこうとしたのを強引に遮った。それにムキになってしまった私は、強引に海里からその手紙を奪い取った。

そこに書いてあったのは、「セックスしないと出られない部屋」。

それ以外に何も書いてあることはなく、いたってシンプルな物だった。

「…せっ…くす、て」

「俺と?有果が?」

「「無理無理無理無理!!」」

私たちは、声を合わせてそう言った。それもそのはずだ。

私も海里も、今までずっとお互いを恋愛対象としてなんて、見たことは一度もない。ましてやセックスなんて、もっての他だ。

少しの間が開いたが、まず海里が口を開く。

「…まあ、夢なんだし?何にもしなくてもそのうち目覚めるだろ。その時を待とうぜ~」

「そ、そうだよね!それがいい!!わ、私も気長に待ってよーっと」

「…」

「…」

気まずい沈黙が流れる。そうなのだ。

この部屋には、シングルベッド以外、本当に何もないのだ。

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