「心は諦めたから、身体だけ頂戴」彼氏の幼馴染に求めるまで焦らされ続けて― (ページ 2)
三次会が終了してお開きになった時には、シンちゃんにしては珍しくべろべろに酔っぱらっていた。
こんな巨体を私が抱えられるわけもなく、タクシーに乗せた。シンちゃんが私の手を離してくれないので、仕方なく同乗する。
アパートの前でシンちゃんだけ降ろして、私はうちまで送ってもらうつもりだった――のに。
「ねぇ、家まで送ってよ。レナちゃん」
シンちゃんが甘えた声で囁いてきて、断れなくなった。
それでも、玄関に押し込んで帰ろうと思ってた。
だけど、玄関のドアを開けた瞬間、シンちゃんは思い切り強く私を抱きしめて身動きが取れなくなった。
ぎゅうと抱きしめられて息もできない。
がちゃん、と、玄関のドアが閉まった音が、やけに大きく響いた気がした。
「シンちゃん、飲みすぎたよ?お水飲んで、ゆっくり眠って――っ」
緊張を誤魔化すため、口早に言った言葉は、唇ごとキスで塞がれてしまった。
思ったほど、酒臭くなくて目を見開く。
シンちゃんは悪戯を見つけられた子供のように、得意げにくすりと笑うとスニーカーを脱ぎ捨てて、靴を履いたままの私を抱き上げ、そこそこ片付けられたワンルームの部屋の、ベッドの上へと連れて行った。
「どう?酔っ払いの演技」
シンちゃんが、私の上にかぶさるように手をつくと、ぎしりとベッドが軋んだ。
「――ふざけないでっ」
ぎゅう、と、強い力で抱きしめられた。
「本気だよ。こんな可愛い子を狼の前に置き去りにして、バイトなんかに行くタクが悪い」
「タクのこと、悪く言わないで――ん、んんっ」
抗議する私の唇を、また、シンちゃんは容赦なくキスで塞ぐと遠慮なく口腔内を舌でまさぐってきた。
可愛らしい風貌からは想像できない、ねちっこくしつこいキスに息が荒くなり身体の芯が熱くなり、力が抜けていく。
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