専業主婦がハマった理想の彼とのデートと甘い時間 (ページ 5)
「オレのこと、また、呼んでくれる?」
「うん。うん、絶対また、会いにくるから……!」
翌朝、樹は、瑠依が地元へ戻る電車に乗るまで見送ってくれた。
郊外の住宅地へ向かう電車の中で、必死に涙をこらえる。
――会いたい、もう一度。……ううん、何度でも、何度でも!
そして瑠依は、一つ、小さな決断をした。
「あ、あのね、あなた。あたし、ちょっとパートで働いてみようかなって、思ってるんだけど」
「……え?」
「ほら、近所のドラッグストア。レジのパート、募集してるの。一日三時間くらいから、始めてみて、さ」
「あー、まぁ、そんくらいなら、いいんじゃね?」
テレビのバラエティ番組を眺めながら、夫は気のない返事をした。
「うん、ありがと!」
たとえお小遣い程度の収入でも、自分の力で稼ぐお金。
それをこつこつ貯めて。
――また、会いに行こう。
あたしの、秘密の恋人。
一時間五千円、お金で買う恋でもいい。
ふたり、いっしょにいる時は、好きっていう気持ちに嘘はないから。
――待っててね。また、すぐに会いにいくからね……。
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