図書館で見かけるあの人が、元カレと鉢合わせそうになるから… (ページ 2)
「…去年突然思い立って、大学受験したんです」
「それはまた!行動的ですね。それでいつもいらしたんですね」
「見られていたんですね。恥ずかしい…」
彼女は赤らめた顔を本で隠した。
その仕草が可愛らしい。
「あの…あなたはお仕事帰りで?」
「川崎で良いです。僕はまぁ…自由に動けるので」
「お仕事が?」
「はい。家でちょっとパソコン弄ってるだけなんで、無職みたいなもんです」
「あら」
その瞬間、笑いあった。
本当は少しずつ利益が上がって来ているから、会社として従業員を雇おうかと考えていたところだった。
でもまぁ無職みたいなもんだろう。
「気晴らしにこの図書館に来るんです。家にずっといると気が滅入りますから」
「わかります。私も冬休み中ずっとそんな感じです」
その時、突然彼女の視線が窓の向こうを見つめたまま止まった。
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