横暴な客に捕まり乱暴な扱いを受けていたら…リセットされる嫌な記憶 (ページ 2)

「えっと…申し訳ありません。当店は居酒屋なので、お酌はいたしかねます。法律違反になってしまうので」

「そうなんですか…どうしてもダメですか?」

「申し訳ありません。そういったサービスは一切できません」

これでも、ゴネるようだったら誰かに言わないと、と思っていたら急に腕を掴まれた。

「え…ちょっと、お客様!」

「一杯だけでいいんです」

強い力で引っ張られて、半個室の部屋に連れ込まれる。

座敷タイプの席には同じくスーツ姿の男性がいた。

サラリーマンにしては明るい髪色で、チャラいという形容詞がぴったりだ。

「先輩、連れてきました。お酌してくれるそうです」

「おーまじか。よく説得できたな」

説得なんかされてませんけど。

無理やり連れて来られたんですけど。

とは、言えないのが接客業の辛いところ。

「あの、お客様、先ほども申し上げた通り、お酌は法律違反になってしまうので、できません」

イライラを隠して、できるだけ穏やかな口調を心がけた。

「いや、さっき、特別にしてくれるって言ったじゃないですか!」

大人しそうな顔が嘘みたいに、男性が大声を出すから唖然とする。

「言ってませんよ」

「はぁ?言いましたよ。店長、呼びます?」

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