初めて携わる分野の仕事をいつも優しくフォローしてくれる男性の家で…休日出勤も悪くない (ページ 2)
「むずかしい?」
借りた本を見ていたら、ローテーブルに2人分の紅茶を置いて、福永さんが覗きこんできた。
「わっ、は、はい、ちょっとむずかしいです・・・」
福永さんとこんなに近付いたことがなくて、自分の顔がかあっと熱くなるのが分かった。
私が入社したての頃から福永さんは面倒見がよくて、迷ったり悩んだりしていると声をかけてくれた。
物腰も落ち着いていて・・・
たぶん、福永さんは誰にでも優しいひとなんだけど、私は、いつの間にか彼を好きになっていた。
「分からないところがあったら聞いてね」
福永さんは私の隣に座った。
「ありがとうございます・・・いつも気にかけて頂いて、すみません」
「佐々木さんはいつも頑張ってるから、応援したくなるんだよ」
・・・福永さん、見ててくれたんだ。
そう思ったら、ふと胸が熱くなって、思わず涙ぐんでしまった。
「どうしたの?」
福永さんが慌てたように私を見た。
「いえ・・・私、この分野の仕事が初めてで、分からないことだらけで大変だったんですけど、福永さんのおかげで何とかやってこれたなって思って・・・」
そこまで言ったら、涙が止まらなくなってしまった。
福永さんはテーブルの上にあったティッシュを差し出してくれた。
「すいません・・・」
私は謝りながら鼻をかんだ。
泣いてしまうなんて、弱いと思われたかな・・・
そう思ってうつむいたとき、福永さんの腕が私に伸びてきた。
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