男子生徒に襲われかけた新米教師を助けたのは…ぶっきらぼうな言動に垣間見える甘い告白 (ページ 2)

「真木先生」

登校途中、声をかけられて、我ながら大げさに反応した。

「…梶くん」

「ごめん、びっくりさせた?」

昨日、助けてくれた子だ。

3年生。

背は高いほうで、際立って目立ちはしないけれど成績は安定していて、授業態度も問題ない。

あまり友達と騒いだりしない、クールな生徒。

…と知ってはいるものの、接点はなかった。

現国の授業を受け持っている、というだけで。

「顔色悪いよ、今日くらい休めばよかったのに」

首を振った。

梶くんはさして興味もなさそうに、そう、と横に並んで歩く。

「朝練?」

「まあね」

「高校最後の夏だもんね、悔いのないようにね」

私自身、かつて運動部で汗を流した。

つい力が入った私を、梶くんは、おかしなものでも見るような目つきで眺めた。

「人を応援してる場合?」

「え」

「ほっといたら、あいつら昨日の絶対晒すよ。撮られてたの、気づかなかった?」

嘘。

訴え出る気もなかった。

男子生徒に襲われかけた新米教師なんて、誰も擁護しない。

ならいっそ、なかったことにすればいい。

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