「遥、結婚しよう…」
言葉の意味が解らず、そのまま固まってしまった。
「遥?」
「….え、あ、え?…や、あの、ぇ…だって、…え」
その私の慌てように、匠さんは、ぶはっと吹き出して「ちょっと落ち着け」と、更に抱き締める腕に力を加える。
「いや、でも、あの、匠さんは、その…社長で、私のことなんて…ただの暇つぶしと言うか…ただの遊」
「遥…愛してるよ」
匠さんは私の言葉を遮るように言って、後ろから左手の薬指に指輪をすっとはめた。
その指輪の光は目の前に広がる夜景より何倍もキレイで輝いていた。
「ほら、返事は?」
「…..はい…」
私たちは夜空の下で、深く深く口付けを交わした。
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