理性も倫理も世間体も吹き飛ばし私をふらちにした意地悪な男 (ページ 3)

彼の舌が口いっぱいに広がる。

このひとの舌はいつもいつも熱い。

満たされる。

熱い舌はそのまま、私の首を撫でてゆく。

ゆっくり、ゆっくり。

「・・・んっ」

浩司さんは舌を離し、私の目をじっと見つめながら、大きな手のひらで乳房を覆う。

もう片方の手で、太ももをゆっくり、舐めるように撫で上げはじめる。

「ぁん」

快感に思わずのけぞった私の顎を、浩司さんは優しく引き戻す。

「・・・見せて。千穂の気持ちいい顔、ちゃんと見せて」

「ゃん・・・あっ・・・」

——

私たちは、たまに会う。

待ち合わせ、美味しいものを食べ、不埒に抱き合い、駅で別れる。

手をつなぐことは、別に好きじゃない。

好きじゃないけど、そのことと、手をつないで外を歩けないというのはまた少し違う気がする。

そして、そういうのが悲しいときもある。

薬指の指輪をときおり呪縛と感じるのと一緒だ。

「んん?千穂の言うこと、小難しいな」

肩のくぼみに私の頭をのせ、浩司さんはしかめっつらをした。

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