無愛想で腹が立つ先輩の心中を目の当たりにして…甘くイジワルに愛される (ページ 4)
また、無言の時間が始まる。
いつもどおりの無言の時間。
でも、ちょっとだけ、街のネオンは綺麗に見えた。
信じられないことだが、半年、一緒に仕事をしていて
二人で食事に行くなんて初めてなのだ。
コンクリートの上にヒールの音が響く。
今の私の心みたいに。
遠慮がちで、でもどこか弾んでるみたいな響き。
靖国通りをまっすぐ行くと、神社の少し手前で長谷川さんは立ち止まった。
「いらっしゃいませ。」
アルバイトのお姉さんが、時給950円の笑顔で迎えてくれる。
向かい合わせのテーブル席に座ると大きなメニューが置かれた。
お姉さんがいなくなると、長谷川さんがポツリと言う。
「好きなの食べて。」
「はい。」
適当に選んで、注文を済ませる。
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