無愛想で腹が立つ先輩の心中を目の当たりにして…甘くイジワルに愛される

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無愛想で腹が立つ先輩の心中を目の当たりにして…甘くイジワルに愛される (ページ 1)

「長谷川さん!」

「…。」

長谷川さんは何も言わない。

何も言わずにスタスタと歩き出してしまう。

あたりがすっかり暗くなった午後7時。

新宿は家路を急ぐ人で溢れかえる。

みんなどこかへ帰っていく。

家族のもと、恋人のもと、冷えた一人暮らしの家へと。

でも、普通、そんなことは考えない。

考えてる余裕さえない。

精一杯だ。

駅前の家電量販店のネオンに照らされる人の波。

そんな中、長谷川さんの背中を見失わないように。

都会の雑踏の中を私たちは歩いた。

長谷川さんの後ろを歩いた。

彼の隣を歩いたことなんて無い。

長谷川さんは歩くのが速いから。

「長谷川さん。あの…。」

「…。」

一言喋るのにも、緊張する。

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