風邪を引いた幼馴染の看病をしに行ったら、寒いから温めてほしいと言われ、一緒にお風呂に入ることになっちゃった…。 (ページ 2)

「スカートそんなになってるなら、水かかったんだろ、そのままじゃお前が風邪ひくぞ。それに…」

至って真剣に和真は続けた。

「小さい頃はよく、一緒に入ってたよな、風呂」

懐かしさと、少し寂し気な和真の笑顔に胸がきゅんとなる。

あぁ、和真も昔みたいにって思ったりするんだ…。

そう思うと、美紀の心はとても温かくなった。

「…しょうがないなぁ…」

照れ隠しにそっぽを向いて、和真をお風呂に向かわせる。

「後から行くから、先に入ってて」

とは言ったものの、後から事の重大さに気づかされた。

「裸…だよね…」

幼馴染とはいえ、お互いの裸を見たのなんて、小学校に入る前のこと。

脱衣所で洋服を脱いでみたが、緊張してドアを開けられない。

「早く来いよー」

和真の、のんきな声が響いている。

人の気も知らないで…和真は全然平気なんだ…。

そんなことを考えているうちに、ブルっと悪寒がした。

タオルで前を隠して、一気にドアを開けた。

「やっと来た」

湯船に浸かって笑いかける和真にドクンと心臓が跳ねる。

がっしりとした体格に、ほどよくついた筋肉は、もう昔の幼馴染の姿はそこにはなかった。

湯船のお湯は入浴剤が入っていて、白濁色で下は見えない。

「ちょっと、あっち向いててよね!」

「はいはい、わかってるって」

「じゃあ、…お邪魔しまーす…」

美紀は緊張しながらも、湯船に足を入れる。

和真の家の湯船は一人暮らしにしては大きめサイズで、十分二人で入れる大きさだった。

…温かい…。

冷えた体に心地よい温度、緊張で強張っていた身体から力が抜けていく。

「やっぱり狭いな…美紀、背中寄りかかっていいよ」

「え?うん、ん?」

のんきなのは美紀の方だった。

言われるがままに身体を倒すと、背中から和真に包み込まれた。

「この方が温かい…」

「えっ、和真!これはちょっと…」

和真から離れようともがいてみるものの、狭い湯船と和真の腕の力で身動きがとれない。

結局、後ろから抱きしめられる体勢で収まってしまった。

前はタオルで隠しているものの、美紀の背中は、和真の胸に直接肌が触れている。

その生々しい感覚に、すべての意識が背中に集まる。

どのくらいの時間が流れただろうか。

「和真、そろそろ…離して?」

心臓の音がうるさくて、声は和真に届いたのだろうかと考えながら、再度、和真の腕を外しにかかる。

「やだ、美紀の肌…気持ちいい…」

「…っ、和真…風邪、ひいてるんだよね?」

紛らわすように、和真に問いかけると思わぬ返答がくる。

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