普段は温厚な課長のもう一つの顔…最高のご褒美で何度も絶頂

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普段は温厚な課長のもう一つの顔…最高のご褒美で何度も絶頂 (ページ 1)

課の壁に貼られた営業成績表を見て、私は一人ほくそ笑む。

 三ヶ月連続営業成績トップ。今月は当てにしていたクライアントに何件か断られたから、もうだめだと思ったけど、下旬に入って新規を何件か捕まえたのが大きかったなあ。

「カナさん、今月も素晴らしい成績ですね」

「坂井課長」

 坂井課長はおっとりとした口調で話しかけてきた。私は礼儀正しく頭を下げる。

 ちょっと天然で物腰の柔らかな私の上司。彼は、俺についてこいって強引なタイプではなく、周囲が助けてあげなきゃって母性本能をくすぐられるタイプなんだよね。新入社員にまで、「課長を見てると守ってあげたくなります」と言われる始末。

「とんでもない。課長や営業チームのサポートのおかげです。私一人の手柄じゃないですよ」

「謙遜しないでください。あなたのおかげで、課の成績が上がってます。営業部長もあなたの仕事っぷりを褒めておられましたよ」

「わ……営業部長にですか? もしかして課長が話して下さったのでは?」

「君はいい部下を持って運が良かったね、って言われちゃいました」

 坂井課長は屈託なく笑った。営業部長は坂井課長とは逆で、俺様な体育会系上司で、普段からとても厳しい。彼に認められることはめったになかった。

 褒められた私はつい舞い上がってしまった。

「課長……私に、頑張ったご褒美はないんですか?」

「えっ?」

「あ、いえ……厚かましいですね、すみません」

 へへへと私がごまかすように笑うと、坂井課長は、かけている銀縁眼鏡に片手で触れて、少し思案するように俯いた。

「……そうですね。ご褒美か……。考えておきますね」

「ええっ? ホントですか? 楽しみにしてます」

 私はガッツポーズを取った。坂井課長は穏やかで優しい微笑みを浮かべると、その場を立ち去った。

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