偶然再会した元カレの後輩と愛し合った私。後輩の言葉が私を激しく惑わせる。

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偶然再会した元カレの後輩と愛し合った私。後輩の言葉が私を激しく惑わせる。 (ページ 1)

桜子は三十五歳で独身。数年前から料理教室に通ったり、図書館で本を読んだり、遊んでばかりいた二十代とは正反対の落ち着いた生活を送っている。

 友人たちが次々と結婚し育児で忙しくなったこともあるが、桜子はおひとり様生活を割と楽しんでいた。両親は結婚しろとうるさく言うが、不思議なほど桜子には結婚願望がない。

 六年付き合っていた酒癖の悪い彼と別れて以来、恋愛も面倒になったまま四年が過ぎていた。

 だから積極的に彼氏を探すこともなく、仕事漬けの毎日を過ごしている。

 今にも雪が降りそうな一月の土曜日。桜子は駅前のカフェでレポートを仕上げていた。パソコンを使うことが好きではない桜子はこうでもしないと進まない。

 勉強する学生、お喋りするカップルがちらほらいる、そんな土曜日のカフェがなぜか桜子は好きだ。だから、やる気スイッチを入れるためにその日も早い時間からカフェにいる。

 コーヒーとサンドイッチを食べ、一時間ほど過ぎたときだった。

 ふと、桜子は誰かの視線を感じた。両隣のテーブルは空いていたので、ゆっくり右側に視線をやると、一人の男性が桜子を見ていた。

 がっちり体型で小顔。かちっとセットされた黒髪の短髪。切れ長の一重の目が印象的な男性。

 どこかで見たことがある、絶対に知っている顔。でもすぐに名前が出てこない。わずか数秒の出来事だったが、その男性が桜子に声をかけてきた。

「桜子さん、お久しぶりです」

「はい、お久しぶりです」

「お元気でしたか?何年ぶりですかね?先輩が酔いつぶれた日以来ですよね」

 そうだ!思い出した。先輩というのは、桜子の元カレ。そして、この男性は二つ年下の悠馬くんだ。

「あー!悠馬くん。お久しぶり!四年ぶりぐらい?」」

 大学時代、元カレの野球チームにいた後輩。元カレがいつも可愛がっていて、会社員になっても草野球チームで一緒にプレイし頻繁に飲みに行っていたメンバーの一人だ。

 元カレの酒癖の悪さもあり、桜子は何度も迎えに行ってメンバーに謝っていたし、試合には差し入れを持って行ったりもしていたので、普通に挨拶を交わす仲でもあった。

 桜子の反応を見て、悠馬が桜子の席にトレイを持って移動してきた。

「仕事ですか?」

「うん、まぁね。悠馬くんは?」

「買い物帰りです。雪になりそうだし、早めに切り上げました」
 
 相変わらず爽やかな体育会系の悠馬くんだ。真面目で仲間想いの信用できる後輩だと、よく元カレが言っていた。桜子の印象もとてもよかった。

「みんな元気にしてる?」

「野球のメンバーですか?前ほどは会わなくなってますけど、なんとなく情報は入ってきます」

「私たちが別れたことは知ってるよね?」

「はい、桜子さんの話を先輩はよくしていたので」

 そうだった。元カレはお喋り好きで、話を盛るところがあった。桜子のことを面白おかしくネタにしていたのも想像がつく。

「悪い話じゃなかったらいいんだけど」

「大丈夫です。桜子さんの印象は変わりませんから」

 お互い様だと桜子は思った。いつも穏やかで笑顔が印象的だった悠馬は全く変わっていない。当時は深い話をしたことはなかったけれど、みんなが悠馬を可愛がっていたのがわかった気がする。

「仕事の邪魔しましたか?」

「大丈夫。もう諦めたから」

 桜子の返事に悠馬が笑う。

 本当だった。なぜかもう少し悠馬と話をしたかった。まさか、一週間後に悠馬と激しく愛し合うとは思ってもいなかったのだが。

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