イケオジの上司とベッドイン!大人のテクニックに身も心も虜になった私。 (ページ 2)
「帰れるか?」
「はい」
二人が上司でなければ、カラオケでも誘って酔い覚ましをしたかもしれない。
「私は大丈夫ですので、どうぞ部長たちは先に帰ってください」
「そんなわけにはいかないだろ」
そんなやり取りの中、直之は部長を先に見送り、花菜と一緒に夜の住宅街を歩きだしていた。
「気が利くんだな、最高のアシスタントだったよ」
「ありがとうございます!」
上司に評価され、素直に花菜は嬉しかった。何より、隣で歩く直之はやっぱり清潔感溢れる大人のいい男。
そんな男性と夜の街を歩いていることが、とても新鮮だ。
周りから見れば二人はどう見えるのだろうと、花菜は思っていた。このままどこかに寄り道してもいいのになと、空を見上げて深く息を吐く。
すると、突然尿意を催した。さすがに飲み過ぎのせいだが、我慢できそうにもない。
「あの…、トイレに行きたいんですけど」
「コンビニもなさそうだけど。もう少し我慢できるか?」
「いいです、いいです。私、探しますから」
「探すって、ないからこの辺。駅もまだ遠いし」
「この辺に詳しいんですね」
「この街の住人だから。俺のマンションに寄るか?片付いてはないけど」
「そんな…、でも、甘えていいでしょうか」
酔っぱらっているうえに緊急事態。普段ならありえないのだが、そのときの花菜には選択肢がなかった。
トイレを借りるという情けない展開。でも直之はいつものように穏やかに微笑んでいる。
何とか五分ほどを耐えて、直之のマンションへ到着した。
「お邪魔します!」
「そこの左だ」
「はい」
玄関を開けるや否や、花菜はトイレに駆け込んだ。生理現象だから仕方がないとはいえ、すっきりした花菜は急に恥ずかしくなる。
どんな態度で直之に接すればいいのかわからない。
「本当にありがとうございました」
深々とお礼をし、なかなか顔を上げられない花菜に、直之は笑って返した。
「ちょっと休んでいけばいいよ」
「でも…」
「いいから、気にすんな」
なぜか花菜はキドキしていた。片付いていないと言っても、男性の一人暮らしにしては綺麗だと思う。本当に段ボールが積まれたままではあったが、無駄な物は置いていないし、白が基調の部屋は清潔感に溢れていた。
「そこ座って」
テーブルに案内され、そのまま座り込む。
「何飲む?」
「いえ、気を使わないでください」
「いいから」
「じゃあ、お水を…」
「水ね、オッケー」
花菜は部屋を見渡していた。女性用の化粧品もないし、洋服もかかっていないし、ぬいぐるみも置いていない。女性の気配はまるでない。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
グラスを渡された花菜は、思わず直之を見つめいていた。
スーツを脱いだ直之は白のTシャツと、グレーのスウェットという部屋着に着替え、がらりと印象が変わっていた。
「主任、若い!」
「ははっ、若くはないよ、もうすぐ四十だしな」
Tシャツから見える浅黒い腕から、血管が浮き出ている。無駄な贅肉がないから若く見えるのだろうか。スラっと均整のとれた体が大人の色気を放っている。
「疲れたか?急に静かになって」
「いえいえ、なんかその…、この状況が…」
「確かに」
缶ビールを美味しそうに飲む直之の優しい表情が、花菜を少しずつ欲情させていたのかもしれない。
アルコールが入った三十路の体が、少しずつ男を思い出していた。
熱いキスがしたい。あの腕にぎゅっと強く抱きしめてほしい。最後にセックスをしたのは二年前だったかも曖昧だ。
そんなことばかりが脳裏に浮かぶ。
「主任は彼女はいないんですか?」
「ああ、いないよ」
「今までの彼女は年下と年上、どっちが多かったですか?」
「なんだよ突然。うーん、どっちも付き合ったことがある」
「私、年上の人と経験がないんですよ」
「へー、そうなんだ」
「なんかそんなチャンスもなくて」
「ものすごく興味がある言い方だな」
「そういうわけではないんですけど…」
その瞬間、花菜は直之に強く引き寄せられ抱きしめられていた。
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