昔遊んでいた近所のショタっ子と偶然再会。昔のノリで家に上げると、彼は大人になっていて… (ページ 2)
そう言うと、透は電話越しにバタバタと支度をしているような音を立てていた。…全く、そんなに慌てなくてもいいのに。そんなことを考えながら、玲子は電話を切った。
透は、どうしてこんなに間が空いたのに、私のことを慕ってくれているんだろう。玲子の素朴な疑問だった。8歳も年が離れているのに、どうして私のことなんかを…。
まあ、慕ってくれているのは、嬉しい事なのでそこまで深く考えないようにしよう。玲子は切り替えて、透が来るまでのコーヒーを準備した。
*****
20分ほどの時間が過ぎたところで、玲子の部屋のインターホンが鳴った。
「玲子さん、来ちゃいました!」
「来てくれて嬉しいわ。積もる話もあるだろうから、入って入って」
いつにも増してにこやかな透に、玲子はいつもの笑顔を振りまいた。透が部屋に入ると、ディフューザーのいい香りが立ち込めてきた。
「…玲子さん、引っ越してきたばっかりなのに、部屋めっちゃいいにおいする」
「…香りには気を付けてるからね。気に入らない匂いだったら、ごめんね?」
「ううん?全然!俺も好きなにおい!」
「よかった」
透は、ソファに座ると、あの頃のようにキョロキョロと部屋を見渡す。そんな様子に玲子はクスリと吹き出してしまった。
「…どうしたの、玲子さん?」
「ふふっ、ううん、何か、透っち、変わらないなあって思って」
「…ええ?変わったでしょ?おっきくなった!だってもう二十歳だよ?」
「…そうだね、おっきくなったね」
透はにこにことそんな風に話す。あのころと変わったことと言えば…、身長と声音くらいだろうか。
玲子は透にミルクティを渡した。
「あー、また子ども扱いしたでしょ」
「そんなことないよ。…でもコーヒーは飲めないと思ったわ」
「コーヒーくらいのめるっつーのー」
ぶーたれた透は、そのままミルクティをすすった。コトン…とテーブルに静かに置くと、透は、玲子のほうに向きなおって、言った。
「玲子さん?」
「…なあに?」
「好き」
「うん…って、え?」
あまりにも自然に告白をしてきた透は、まっすぐに玲子を見ていた。その眼は、一点の曇りもない、玲子を一途に思い続けていたと言わんばかりの眼差しだった。
「ずっと好きでした、玲子さん…っ」
「す…好き、って、透っち…」
「俺、玲子さんにもう一度会えたら、絶対に言おうと思ってたんだ。…それで…偶然、居たんだ、この前」
「それで、私に、声を…?」
「そうじゃなくても、声かけてた。…ずっと、俺の一番好きな人だから」
「だって…私、透っちと何個離れてると思ってるの?…っ、全然、釣り合ってないよ、私」
「そんなことない!」
向かい側に座っていた透は、玲子の元へ駆け寄って、抱き寄せた。一気に近づいたことにより、2人の鼓動がダイレクトに伝わってくる。
「俺…ずっと…、玲子さんに近づきたくて…、子ども扱いしてほしくないの。だってさ、俺こんなこともできるんだよ?」
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