私が振った元カレがイケオジになり、主導権をすっかり奪われたままイカされてしまう。

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私が振った元カレがイケオジになり、主導権をすっかり奪われたままイカされてしまう。 (ページ 1)

理美と智也は大学時代に二年間付き合っていた。就職が決まりお互いの生活リズムが変わることを言い訳に、別れたくないと言い張る智也を突き放し、理美が話も聞かずに帰ったのが二人の最後の夜となった。

 智也の前では、わがままばかりだった理美。長身で引き締まった細身の体。色白で切れ長の目。ルックスがタイプで、彼氏が欲しかった理美が告白して付き合いが始まった。

 飲み会や友達付き合いよりも理美を優先し、怒ることもない穏やかな性格。その優しすぎる性格が当時の理美には少し退屈だったが、二年も関係が続いた理由の一つがセックスだった。

 智也は理美の体を丁寧に扱い、必ず絶頂を迎えるまで愛してくれる。

 智也のペニスは、太さと硬さが理美のソレとぴったりで、色々な体位で交わっても痛みを感じることもなく、味わったことのない快感にのめりこんでいた。

 今の理美は旦那とキスさえもしなくなったので、時々オナニーのおかずに智也との情事を思い出すこともあるほどだ。

 そんな智也に駅前のコーヒーショップで偶然会ったと、噂話が大好きな友人が興奮状態で理美に連絡をしてきた。

 とにかくイケオジの色気がすごく、パリッとスーツを着こなし、店内の女性の視線を独り占めしていたというのだ。結婚指輪ははめていなかったというが、既婚者かどうかはわからない。

 理美は結婚十周年で、八歳と六歳の姉妹がいる。四十路を目前に、ふっくらしたウエスト回りは隠せなくなり、お洒落をして男性の視線を気にすることもなくなった。

 どちらかといえば、若い頃は派手に遊んでいたグループにいた理美。今こうして生活感あふれる自分が、元カレのイケている近況報告を聞くことは少し苦痛でもあった。

 ただ、大学時代の友人が集まってプチ同窓会をすると聞いて、智也を見たいという好奇心が芽生える。

 自分のことが大好きだと公言していた元カレ。もしかすると今でも淡い思い出として理美のことを思い出しているかもしれない。

 そんな都合の良いことを考えながら、本当は参加する気もなかった同窓会に、理美は即決で参加を決めた。

*****

 当日、夕方五時から仲間が経営するバーに二十人ほどが集まった。

「久しぶり!元気そうね」

 女性陣は挨拶をしながらも、相手の頭の先から足の先までしっかりと見ている。

 幸せそうか、そうでないか、そんなマウント合戦は理美をほんの少し憂鬱にさせた。

 この日のために、美容院へ行き、ネイルサロンにも行った。新しいワンピースを数年ぶりに買い、久しぶりにヒールのある靴を履いた。

 それでも艶や色気を数日で出すことは無理だった。そんな現実を同級生を見ながら実感し、自然とため息がこぼれた時だった。

「あれ?智也?」

 会場に入ってきた智也に、周囲が反応した。

 理美も思わず入り口に目をやる。

 間違いなく智也だった。濃紺のスーツを着こなし、体型も変わらず細身だ。短髪をセットし以前よりもきりっとして見える。肌も張りがあり、清潔感が際立っていた。

「すごい!智也が一番いけてるよね」

「若すぎない?」

 そんな女性陣の声が聞こえる。もちろん、理美も同感だ。今すぐ智也に声をかけたいけれど、そんな権利は理美にはない気がしていた。

 カウンターでワイングラスを受け取る。智也に会うことが目的だったのだから、あとはもう酔っぱらうしかない。思い切って話しかける勇気もない理美は、そのままカウンターにとどまった。

「よう!元気?」

 背後から声をかけてきたのは智也だった。

「う、うん。久しぶり」

 あの時の優しい笑顔にも見えるが、まるで理美を睨みつけているかのような視線にも感じる。

「結婚したの?」

「私?うん。子供も二人」

「へー、よかったじゃん。幸せな理想の家庭ってやつで」

「智也は?」

「俺?理美にふられてから女に真剣になることは無くなったから」

 嫌味なのだろう。智也はずっと理美のことを憎んでいて、今日ここにやってきたのだと思った。

「あの当時は私も子供だったから」

「だから?」

「わがままな彼女だったことを反省してる」

「ふーん、こんなとこで謝られてもね。この後、二人で遊ばない?」

 理美は信じられなかった。こんな風にぐいぐいくるタイプではなかったはずなのに。

 まるで二人の立場が真逆になったかのように、智也が主導権を握り理美の心を弄ぶ。

 智也の唇はぷるんと潤み、胸元で動く色白の細長い指先は、大人の色気を惜しみなく出しながら理美を挑発しているようだった。

 ー抱かれたい。

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