バリバリ仕事をこなして、順調に出世している私。でも、ある日陰口の現場に遭遇して…
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バリバリ仕事をこなして、順調に出世している私。でも、ある日陰口の現場に遭遇して… (ページ 1)
新卒で入社した会社に勤めて、五年。
順調に出世もして、大変だけど充実した毎日。
「沙織さんってほんと素敵だよね~。完璧でカッコよくて、できる大人って感じ。私もああいう風になりたいな~」
ある日、給湯室で後輩社員たちがそう噂しているのを聞いて、思わずにやけてしまった。
キツいとか冷たいとか思われがちだから、まさか尊敬されてるなんて。
でも、次の瞬間…。
「けど沙織さんってさ、プライベートもあんななのかな?」
「男とかいなさそうだよね~。仕事に命かけてるって感じ。あれって女としてはどうなんだろ?」
「やっぱないよね~」
急に悪口に変わってしまった。
素敵だって言ってくれたのは嘘だったの?
上げて落とすなんて酷すぎる。
それ以上聞いていられなくなって、私は彼女たちにバレないように、そそくさとその場を離れた。
「そりゃ、確かに彼氏なんてもうずっといないけどさ…」
彼女たちが言っていたことは当たっている。
でも、あんな言い方しなくてもいいじゃない。
苛々しながらパソコンを叩いていると、コト、とコーヒーを置かれた。
「大丈夫ですか?沙織さん」
「あら、ありがとう」
浩志は、数ヶ月前にうちの部署に異動してきた後輩だ。
地元も卒業大学も同じだと知ってからは、意気投合。
年下だけど、何でも話せる友達みたいに思っている。
「いつにも増してすごい勢いでキーボード叩いてますね。何かあったんですか?」
「ちょっとね」
「話聞きますよ?今夜飲みに行きません?」
浩志とは、よく飲みにも行く仲だ。
断る理由もなくて、私は二つ返事で了承した。
*****
「誰が仕事しか取り柄のないおばさんよ!」
「そこまでは言ってないんじゃないですか?」
「同じよ!ほんとムカつく!男だったらこうは言われなかったのに。何で女ってだけでここまで酷い扱いを受けなきゃならないのよ!」
私は浩志に連れて行ってもらった居酒屋で、ビール片手に愚痴っていた。
「俺は、仕事できる沙織さんのこと、すげえカッコイイって思ってますよ」
「カッコイイだけじゃだめなのよ、女は…」
「可愛いとも思ってますよ」
そう言って、彼は私の頭をぽんぽんと優しく撫でてくれた。
嬉しくて、涙が出そうになる。
「そんなこと言ってくれるの、浩志だけだよ」
彼の肩に、こてんと頭を預けた。
こんなこと、普段はしないのに。
「この後、俺の部屋来ます?」
酔っ払っているせいね。
その誘いを、私は喜んで受け入れた。
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