ドSの変態上司に調教されたM奴隷の私。巨根の後輩くんとのセックスを指示されて… (ページ 5)

「もう、別れて。って、つき合ってもいないけど」

きちんと話さなきゃ、と思って彼をカフェに呼び出した。

あの夜、どうやって家に帰ったかは、よく覚えていない。

ただ、彼との関係はもう続けられないと思って、いろいろな思いが溢れて、どうしていいかわからないくらいに涙が止まらなかった。

隆太くんには、ただ忘れてほしいとだけメッセージを入れ、謝った。

「わかった。こういう関係には必ず終わりが来るものだから」

彼はそれだけ言うと運ばれてきたコーヒーを飲んだ。

もう、話すことはなかった。

私が席を立とうとすると、彼に引き止められた。

「みゆ、すごく迷ったけど、僕の話を聞いてくれるかな」

私は黙って頷く。

「今まで僕はご主人様として、みゆを調教してきたんだけど、それは本当に笑っちゃうくらいおかしな話で。こういう関係には、実はSもMもない、表裏一体なんだ」

彼のいうことが、よく理解できない。

「今まで自分の話って、誰にもしたことがなくて、でも、みゆにだけは言わなきゃと思って。…僕はかつて女王様のM奴隷だったんだ。女王様の調教はハードでね。あのピアスは、貞操帯をつけるためのもので、女王様に射精管理までされてた。みゆに会う少し前に、壊れる寸前まで自分を追い込んで、彼女がそれを察して、僕の前から姿を消した。みゆは彼女に会う前の僕にすごく似てて、放っておけなかった。何が欲しいのか、わからずに圧倒されるのを待ってるってところがね」

私のご主人様はM奴隷。めまいがしそうなくらい意表を突かれた、と同時に全てが腑に落ちる。

「でも私の他に、飼ってる人がいるんでしょ?」

「ああ、それは、真剣になりすぎてみゆが壊れないように作っておいた逃げ道で、そんな人は最初からいない」

逃げ道なんて、なくてよかった。
 
急に胸が苦しくなって、今までのいろいろなことが脳裏を駆けめぐる。

それから数週間後に、彼は異動になって、私の元を去った。

私から離れるためなのか、それともあの女王様の許に戻ったのか聞こうにも、何から聞いていいかわからないほど、彼のことは何も知らなかった。

隆太くんとは、普通に仕事をしている。

3日に一回は、つき合ってほしいというメッセージが来る。

彼とのことは、隆太くんも勘づいていたようで、気持ちに余裕ができてからでいいからと言われている。

彼のことを、忘れることなんてできない。

今でも、ことあるごとに彼の声が蘇り、私の奥深いところを疼かせる。

「みゆはどうしたいの?」

と囁く、優しくて冷酷な声が。

-FIN-

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