婚約破棄され、傷心中の私。そんな私の元に、結婚しようとやってきたのは…!?
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婚約破棄され、傷心中の私。そんな私の元に、結婚しようとやってきたのは…!? (ページ 1)
子供の頃、近所に可愛い男の子がいた。
私より五つ年下で、名前は康太。
実の弟のように、私はその子を可愛がっていた。
「僕、夢があるんだ!」
「夢?」
「早百合ちゃんと、結婚すること!」
可愛い夢を告白されて、その時の私は純粋に嬉しくなった。
「じゃあ約束ね。大人になったら、結婚してあげる」
「やった!」
子供同士の、ただの約束。
大人になれば忘れる、他愛もない約束だ。
そう、思っていた。
*****
「えっと…康太、くん?今、なんて?」
「結婚しよう、早百合さん。子供の頃の約束、覚えてるよね?」
約束をしてから、二十年近くが経っていた。
大学進学を機に実家を出た私が、地元に帰ったその日、康太くんは私を訪ねてそう言った。
「待って待って。私、三十だよ?もうおばさんだよ?康太くんはまだ二十五でしょ?まだまだ楽しい時期なんだから…」
「もしかして収入を気にしてる?大丈夫、早百合さんに安心してもらうために、大企業で働いてるよ。結婚式の費用も十分貯まった。今すぐにでも挙式できるよ?」
「ちょっと待ってってば!なんの冗談!?私は無職のおばさんなのよ!?」
「早百合さんのこと、おばさんとか思ったことないよ。今もずっと可愛い。お願い。俺と、結婚を前提に付き合って」
私はすぐに返事ができなかった。
正直、康太くんにからかわれているんだとしか思えない。
大学を出た私は、ずっとふらふらフリーターをしていた。
婚約者がいたから、それでも問題ないと思っていた。
三十になって、いよいよ結婚かと思っていた矢先…。
他に好きな人ができたと、あっけなく捨てられることになるなんて、思いもしなかった。
ショックで何も考えられなくて、バイトを辞めて実家に。
こんな情けない私と結婚したいなんて、悪い冗談としか思えない。
「やめてよ、そういうの…。私、もう男の人のことは信じられないの」
「早百合さん…」
「大体、今まで一度も連絡してこなかったじゃない。なのに…」
「早百合さんに相応しい男になるまで、連絡できなかったんだよ」
康太くんの顔は、真剣そのものだった。
「でも、もう大丈夫。そう思えた時に、早百合さんが地元に帰ってきた。運命だと思ったんだ」
「康太くん…」
昔は女の子みたいに可愛かった彼が、今はすっかり大人の男になっている。
こんなに情熱的に口説かれて、傷心中の私が揺らがないワケがなく…。
気づいた時には、彼と熱いキスをしていた。
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