ゆる~い拘束プレイは背徳的な気持ち煽り、絶頂してもなお官能の炎は消えず…… (ページ 2)

「やっぱりここにいた」

という声に真知が振り向くと、コンビニ袋を提げた一寿が立っていた。

ここは一応立ち入り禁止の屋上だ。

しかし鍵が壊れていることは、社内でも知っている人は知っている。

真知は昼休憩になるとよくここに来て、弁当を食べて煙草を吸う。

一寿は当たり前のように真知の隣に腰を下ろした。

風上を選んではいるが距離が近いため、煙や臭いを避けるつもりならあまり意味はない。

「喫煙所があるってのに」

「解放感がないのよ。文句を言いに来ただけなら、どっか行ってよ」

「やだよ。真知とここで弁当食うのが楽しみなんだから」

「私、もう食べ終わったし……あんた、またコンビニ弁当なの?料理は好きとか言ってなかった?」

「朝は一秒でも長く寝ていたいんでね」

「寝汚いのね」

「世のサラリーマンなんてそんなもんだろ」

「私はちゃんと起きてお弁当作ってるけど」

「くっ……俺を追い詰めて楽しいのか!?」

悔しそうな一寿に、真知はクスクスと笑う。

彼女は煙草を消すと、弁当を食べ始めた一寿を眺めた。

「……あんまり見られると食べにくいんだけど」

一寿にジトッとした目で見られても、真知はどこ吹く風で薄く笑む。

諦めたようにため息を吐いた一寿が再び弁当に箸を付けた時、真知は口を開いた。

「ねえ、私と結婚してくれる?」

突拍子もないセリフに、ぶほっ、と一寿は噴いた。

「……な、何だって?」

我ながらいきなりもいいとこだと内心で苦笑するも、真知は言った言葉を引っ込めなかった。

「結婚してくれますか?」

「あぁ、聞き間違いじゃなかったのか……。あのさぁ」

何とも言えない顔の一寿が言いたいことはわかる。

こんなところで世間話みたいに言うことか、といったところだろう。

けれど、真知にそういうものを求めても無駄であることも、彼は知っているはずだ。

意識してやったことはほとんどないのだが、真知は結果的に一寿が作った場や雰囲気をぶち壊してしまうことがある。

プロポーズも、彼はいろいろ考えていたのかもしれない。

それを考えると悪いことをしたかなと思うが、やはり真知は発言をなかったことにはしなかった。

がっくりしていた一寿が、急にクツクツと笑い出した。

「あーもう。滅茶苦茶だけど、いいよ。結婚しよう、真知」

嬉しさのあまり、真知は一寿に抱きついた。

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