カフェで隣り合わせになった男性へコーヒーをこぼしてしまった私。お詫びに男性の個人事務所に行くと・・・ (ページ 2)
中は思ったよりも広く、事務所としては十分の広いように感じられた。
壁紙が薄いモスグリーンでパっと目を引く。
5階だからか、外からの陽が入り、部屋の中が明るく感じられる。
シンプルな部屋になってはいるが、北欧っぽい家具が事務所という雰囲気ではなく、おしゃれな空間・・・という感じにまとまっていた。
『素敵な事務所なんですね・・・』
思わず、キョロキョロ周りを見てしまう。
『いやいや・・・ほとんど、僕一人でやっているから、お気楽にね(笑)』
そういうと、私にアイスコーヒーを手渡してくれた。
グラスを見て、はっ!と思い出し脳裏に昨日のことが浮かんでしまった。
一口飲むと身体に染み渡る感じがして、徐々に身体がクールダウンしていくのを感じる。
『私、岡﨑と申します』
そう言いながら、お菓子を渡した。
『わざわざご丁寧にありがとう。名刺お渡しましたが、髙橋です』
声のトーン、物腰の柔らかさや言葉遣いの丁寧さに心地よさを感じる。
『ここは小さな事務所ですが、私、ライターの仕事をしているんですよ・・・』
そういうと、雑誌を渡された。
某有名な女性誌を受け取ると、付箋の貼られたページを目にする。
『一人でここで仕事をしてて煮詰まると、時々昨日みたいにカフェでね・・・気分転換にもなるし、頭が働かない時は、環境を変えるって大切だから』
部屋には、今まで行ったいろんな雑誌が置いてあった。
『ライターって、どんな内容のことをされているんですか?』
『来る仕事は拒まないよ。ジャンルも余程特殊なのじゃない限りは引き受ける。時々、そのことを調べたり、取材にも行く』
話を聞きながら、私はうんうんと頷きながら話を聞いた。
『例えばこれ・・・』
そう言って手渡された雑誌・・・有名な女性誌。
『これ?』
といい、付箋の貼られたページを開く。
目に飛び込んできたタイトルは『How to SEX?最高に感じるセックスのために』という見出し。
鳩が豆鉄砲を食らう表情をしながら、思わず雑誌を閉じた。
その様子を見て、髙橋さんはケラケラと笑った。
『凄いでしょ!』
『女性誌のものなのに、男性が書いたりもされるんですね!!』
『それはね・・・読者アンケートをもとにまとめたんだよね。凄いよね・・・最近の女性は
はっきりしていて、正直アンケート読みながら驚いたよ。かなり赤裸々に書かれてあってね』
雑誌をもう一度そっと開き、目を通してみる。
良く読むと、確かに、女性の体験をもとに内容がまとめている感じがあった。
太文字で強調されている言葉やタイトルを見ると、顔が火照ってくる。
『岡﨑さんは、おいくつ?40前後かな?』
『はい。。。今年40になります』
『あぁ、じゃぁ、その読者アンケートの人たちと変わらないよ。上は50代半ばの人のも沢山あったしね。悩みなんかもかなり際どく書かれてあったりね・・・』
そういうと、髙橋さんがあるページをめくると、指をさした。
『ここ、意外と、クンニについての悩みが多かったりね』
思わずドキッとして、さらに頬が赤くなる。恥ずかしさもあるけど、真面目な顔をして話をする髙橋さんを見ていると、話に聞き入ってしまう自分もいた。
『男性のほうはさ、ほぼ、フェラされるのが嫌だって人が少ないのに、女性の場合は、半々なんだよね・・・されるのが好きっていうタイプと嫌ってタイプ。。。』
『はぁ・・・』
なんて返答をしていいのか、困ってしまう。
でも、淡々と話をする髙橋さんの姿になんだかおかしさも込み上げてきて、思わず吹いてしまった。
『ごめんなさい・・・初対面に近い方とこのような話をしていることに笑ってしまって・・・』
そう言っている私の手から、グラスを取り上げた。
『え?』
『君は、どうなのかな?』
グラスをローテーブルに置くと、いきなり髙橋さんは私の膝元にしゃがみ込み、私を見上げるような姿勢を取ると、太もものあたりに手を置いた。
凄く真面目な表情で私を見つめている。
私よりも一回り以上離れているであろう男性が跪き私を見つめているのだ。
私は、年相応についている、目元のしわを見ていた。綺麗な切れ長のすっきりとした目元をしていた。
髙橋さんは、私の太ももを開かせると、割って入り、私の腰に手をまわし顔を埋める。
戸惑いはあったが、しばらくその状態が続き、お腹のあたりがほんのり熱がこもり、心地よさを感じていた。
2度目とはいえ、ほぼ初対面。
しかも昨日逢ったばかりで、二言三言、言葉を交わしただけの間柄。
ありえないこのような状況だというのに、妙な親近感が沸いた。
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