彼の手にはスマートフォンが握られ、私のあられもない姿を… (ページ 2)
「ね、浅見君。泣かないで。今日はいっぱいサービスしてあげるから、元気出して」
「本当ですか!?」
ガバッと浅見が起き上がり、理沙に詰め寄った。その目はやっぱり赤くない。嘘泣きだと知っていても、理沙は浅見を咎めない。
「本当だよ」
「やった! 嬉しいー! ……で、あの、やっぱりサービスついでにお願いしたいんですけど……」
浅見がスマートフォンで顔半分を隠しながら、上目遣いでおずおずと視線を投げかけてきた。
「えぇ~? またそれ? さっき嫌だって言った――」
「でも! でも! 僕、明日から一人なんですよ~? 理沙先輩がいない三日間なんて耐えられません! もう出張先に理沙先輩を連れていきたい!」
「そんなこと無理だよ」
「だ・か・ら! このスマホに納めた可愛い可愛い理沙先輩の分身で頑張ろうと……うっ」
またも泣き真似をする浅見に、理沙は「普通の動画じゃ駄目なわけ?」と飽きれたように聞いた。
「あ、普通の動画はもう撮ってあるんで大丈夫です」
「えっ!? 嘘! いつの間に? ちょっと見せて」
「駄目ですぅ~。だって理沙先輩、見せると絶対『消して』って言うから」
「ていうか、もう動画撮ってるならいいじゃない」
「駄目です! そんなの夜とかどうするんですか~。寂しくて、どうにかなっちゃいますよ、僕」
「えぇ~……」
「お願いします、理沙先輩~!」
浅見はそう言って頭を下げた。理沙ははぁ~っと大げさに溜息をつき、「でもなぁ~」と渋った。
「……やっぱり、駄目ですか?」
しょんぼりした様子の浅見が、すがるような目で理沙を見る。理沙は浅見のこの目付きに弱い。
「しょうがないな~! 一回だけだよ!?」
「やったー! 理沙先輩大好き!」
「そのかわり『やめて』って言ったらやめてよ?」
「分かってますって!」
浅見はウキウキしながら、理沙に向かってスマートフォンを向けた。
「じゃ、脱いでください!」
「えぇっ!? ここで? ……ベット行かないの?」
理沙は座っていたソファから立ち上がり、びっくりしたように言った。
「僕、ベットよりこっちの方がいいなぁ。なんかここの方が理沙先輩の家にいるって感じがして好きなんです」
浅見から手を引かれ、理沙は再びソファに座った。浅見自身はソファを降り、理沙の真正面の床に腰を下ろした。
「もう撮ってるの?」
「撮ってますよ~」
理沙は覚悟を決め、ブラウスの裾に手をかけ一気に脱いだ。続いて、履いていたスカートも脱いで床に落とす。
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