発作的な現実逃避先で出会ったコンシェルジュに快感だけの世界に導かれる (ページ 5)
柔らかい抱擁の中にいると、じわじわと利人さんの体温が伝わってくる。
「何もかも、忘れさせてもらえませんか?」
わたしの言葉に利人さんの瞳が微かに揺れた。
「お願いします…」
普段のわたしなら絶対にできないこと。
自分からのキス。
薄めの利人さんの唇に自分の唇を重ねただけで、内側からぬるい蜜が溢れる。
「かしこまりました」
「んぁ!…っ」
深くいやらしいキスが、わたしの唇を塞いだ。
絡む舌の感触が快感に火をつける。
「ふ…ぁ…」
「私のキスは気に入ってくださいましたか?」
「ん…は、ぃ…」
抱きしめられてキスをしているだけなのに、どんどん卑猥な蜜が溢れた。
「千星様から溢れたもので、私のズボンが濡れていますよ」
ベッドに腰かけた利人さんの上に横抱きにされていたせいで、わたしの蜜は全て黒いスラックスに染みこんでいる。
「あ…ごめんなさ…ひあっ!」
謝罪の言葉を消すように、長い指が蜜の源に触れた。
「こんなに溢れているんですから、仕方ありません」
指が動く度にくちゅくちゅと音がした。
淡い快感はもどかしいけれど、優しい恍惚を連れてきてくれる。
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