「おまけに家に連れ込むだなんて、ねえ?」誤解が招いた送り狼 (ページ 4)

確かに卯月さんのことは好きだ。

それでも彼にこんなことされるだなんて思ってもいなくて、想像よりも男らしい体に抱きしめられた私の心臓はばくばくと早鐘を打った。

「っあ!」

後頭部に感じていた卯月さんの吐息が、ふいに首筋へと降りていった。

素肌に触れる吐息にぞくぞくしている自分を恥ずかしく思っていると、落ちてきた唇の感触とちくりとした痛みに声が漏れた。

「んっ、卯月さ、ああっ!」

軽い口づけを何度も落とされて、思わず卯月さんの名前を呼ぶ。

耳たぶをぺろりと舐め上げられ一層高い声を漏らした私の身体を、彼の腕がいやらしく這った。

「はぁ、あの、落ち着いてください」

胸元に近づいた卯月さんの手を掴んで、何とか抵抗を試みる。

彼が後ろにいるせいで表情が見えないことが、私の心を不安にさせた。

「落ち着いていられると思うんですか?」

「え……?」

静かな卯月さんの声と台詞が不安を煽って、私は思わず後ろへ振り向いた。

至近距離で目に入った卯月さんの表情は、今までに見たことのないものだった。

色欲に嗜虐心、それからほんの少しの怒り。

いつもは仕事への集中や私の言葉への照れで彩られるその顔が、今では目の前の獲物を見定める雄の顔をしていた。

「毎日毎日、よくもまあ見事に茶化してくれたものです」

「っ!」

「あなたみたいな若い子には冗談でも、僕には耐えられないんですよ」

呆れるような口ぶりで言いながら、卯月さんは私の身体を抱いて自分の方へと向き直らせる。

彼の表情を正面から見る態勢になり、思わず俯いた私の耳に信じられないような言葉が降ってきた。

「おまけに家に連れ込むだなんて、ねえ?」

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