「おまけに家に連れ込むだなんて、ねえ?」誤解が招いた送り狼 (ページ 3)

「駒種さん、そういうことは……」

「まぁまぁ、お茶ぐらい出しますから」

つまり、男を家にあげようとする私の軽率さを叱っているのだろう。

あくまで紳士的な態度に密かにへこんだ私は、そんな彼を宥めながらその腕を取る。

びくりと震えた卯月さんの腕は思っていたよりがっしりしていて、私までどきりとした。

がちゃんと玄関のドアが閉まる音が、やけに大きく耳に響いた。

黒いパンプスを脱ぎながら、後ろにいるはずの卯月さんに声をかける。

「適当にくつろいでいてください。お茶を淹れてきますから」

パンプスを脱ぎ終えた私は、ハイソックスに覆われた足を廊下へと向ける。

その時、視界の端にうつった腕に気付く暇もなく、私の身体を軽い衝撃が襲った。

「卯月さん?」

卯月さんに後ろから抱きしめられていると気付いて、自分でも分かるくらい体温が上がる。

混乱する思考の中で何とか彼の名前を呼ぶと、背中に感じる気配がびくりと震えた。

「本当に、あなたって人は……!」

こらえるような声で、卯月さんはそう言った。

お腹に回された腕はぎゅっと私を捉え、後頭部に彼の吐息を感じる。

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