「まさかここまで気づかないなんて」
ファントムは実はカフェの店長である。そこはシャムのお気に入りの場所で、お互いに見知った仲なのだ。
クラブに出入りしているとカフェのイメージダウンになると思い、仮面にして素顔を隠したが、まさかこういう展開もあるのかと唸った。確かに彼女のことは前から気になっていたが…。
入れることを躊躇ったのは、カフェで彼氏と話しているときの彼女を見ているからである。本当に幸せそうだった。
ファントムはふうと息を漏らすと、スイッチを切り替えようと備え付けの紅茶を淹れる。無糖なはずなのに、飲んだら甘かった。
彼女の味か…。
いいハロウィンになったと、紅茶にミルクを入れた。
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