この世でやり残したことは、大好きな後輩くんとの初体験?天使に背中を押された私は… (ページ 2)

天蓋付きのベッドの上で目が覚めた。

ここはどこ?

「瑞希ちゃん、やっと気がついたのね、うふふ」

いきなり変なおっさんが、ぼわん、と浮かんできた。

恵比寿さまみたいな顔にニ等身で、バレリーナみたいな格好をして、キラキラ光る魔法の杖まで持っている。

「ちょ…あんた誰、もしかして神様?」 

ってことは私、死んじゃったの?

「やーねー天使よっ。ていうか天国の門番みたいなものかしらねー。うふふ。ほら、この世に悔いが残っちゃうと、浮遊霊になって、天国に行けないのよね。だからアタシの仕事は、ここに来た人にこの世でやり残したことを聞いて、願いを叶えてあげることなのよ。うふふ」

「うーん、やり残したことは仕事かな。ハルひとりに押しつけて天国に行っちゃうとか無理。仕事させてよ。お願い」

「はぁ…仕事? 素直じゃないわねぇ瑞希ちゃん。じゃあこれを使って、頭の中を覗いちゃうからっ、うふふ」

おっさん天使が、魔法の杖を私の額に当てる。

「ハルと初体験? お安い御用よ」

え、そりゃ、ハルとエッチせずに死んじゃうのは心残りだけど。

と思ったら、裸のハルが私の横で眠っている。

おっさん天使、仕事早っ。

「じゃあ、アタシは消えるわね」

「ちょっと待ってよ。もしハルとエッチしちゃったらどうなるの? 思い残すことなく天国に行って、もうハルには会えないの? そんなのいや。だったら浮遊霊になって、ハルにまとわりついて、ほっぺたをつついたり、お腹にマジックで顔描いたり、朝勃ちしてるところをこっそり見たりしたいんだけど…」

「はぁ…瑞希ちゃんって屈折してるわねぇ。処女をこじらせた人の見本みたい。とにかくヤっちゃいなさいよ。特別に初体験でイっちゃう魔法もかけてあげるから。うふふ」

おっさん天使はそう言うと、魔法の杖を振り、だんだんと薄くなって消えた。

*****

「…瑞希さん…なんでこんなところに?」

「え? あ…」

私、死んじゃったみたい、とか言ったらトラウマになるだろうから、言うのはやめておく。

それに、浮遊霊の私につきまとわれるのも迷惑だろうし、人生最初で最後のエッチをして、この世を去る決心をする。

「それ、すっごく似合ってて可愛い」

気がつくと、白のフリフリのベビードールを着ている。

「瑞希さん、キスしていい?」

「そんなこと、聞かないでしちゃってよ」

ハルの顔が近づいてくる。

鼻梁がすっと通っていて、切れ長の目は伏せられていて、胸が高鳴る。

柔らかい唇に触れられて、ぎゅっと抱きしめられて、私もハルの背中に手をまわす。

チュッと軽く吸われて、ついばむように唇ではむはむされて、それから舌先で、唇の内側をチロチロと舐められる。

うそっ、キスがこんなに気持ちいいなんて。

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