誕生日に残業していると、上司が手伝ってくれた。しかも素敵なプレゼントまでくれて…
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誕生日に残業していると、上司が手伝ってくれた。しかも素敵なプレゼントまでくれて… (ページ 1)
その日は二十九歳の誕生日だった。
二十代最後の年。
なのに、一人寂しく会社に残って仕事をしている。
「はあ…なんで私って、こんなにだめだめなんだろ…」
本当は、今日は残業せずにすぐ帰宅して、チキンとかケーキとか、好きなものを好きなだけ食べながらだらだら過ごすつもりだった。
それがどうしてこんなことになったかと言うと、まあ原因は全部自分にあった。
明日大切な打ち合わせがあるのに、その資料をうっかり作り忘れていたのだ。
二十九にもなって、こんな初歩的なミスをするなんて、本当にどうかしている。
「ああどうしよう…このままじゃ明日に間に合わない…!」
焦りながらパソコンを叩いていると、不意に事務所の扉が開いた。
「電気がついてると思ったら…まだ残ってたのか」
「光一さん…!」
「大丈夫か?手伝うぞ」
光一さんは、私が新卒で入った時にすごくお世話になった上司だ。
部署が変わってからはあまり顔を合わせることはなかったけれど、今もこうして私のことを気に掛けてくれている。
私は、ひそかに彼に憧れを抱いていた。
*****
「よし、後はこのデータをまとめるだけだな」
「本当にありがとうございます!おかげで何とかなりそうです!」
結局、光一さんにほとんど手伝ってもらって、私は何とか資料を作り終えることができた。
気づけば深夜を回っている。
終電の時間は過ぎていた。
「すみません、光一さん。こんな時間まで手伝っていただいて…」
「気にするな。由梨は頑張りすぎるところがあるからな。一人で抱え込むなよ」
光一さんはそう言って、私の頭をぽんぽんと撫でてくれた。
優しい手のひらの感触に、心がほわっと温かくなる。
散々な一日だと思ったけど、今日は最高の一日かもしれない。
「…由梨」
ふと、光一さんは立ち止まり、私にそっと何かを差し出した。
手のひらサイズの、小さな可愛い箱。
「これ…」
中に入っていたのは、可愛いネックレスだった。
驚いて光一さんを見上げると、顔が真っ赤になっている。
「今日、誕生日だろ?おめでとう」
「光一さん…大好きです!」
嬉しさのあまり、告白しながら光一さんに抱きついた。
彼は、ちょっと驚いた後、優しく抱き締め返してくれた。
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