海外赴任が決まった先輩と心に残る思い出セックス

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海外赴任が決まった先輩と心に残る思い出セックス (ページ 1)

「もう少し、きみと一緒にいたい」

 低くささやくような声とともに、デスクの上で右手をそっと抑えられて、晴香は小さく息を飲んだ。

 目の前に立つのは、この一年、ともに仕事をしてきた先輩社員の和臣だ。

 彼は、新入社員だった晴香に一から仕事を教えてくれた。晴香が失敗した時に、ともに取引先まで謝りに行ってくれたこともある。

 彼の丁寧な指導のおかげで、自分も何とか一人前になってきたかな、と思っていた矢先。

 和臣はその能力が買われ、海外赴任が決まった。半月後にはもう、ニューヨークの空の下だ。

 彼が担当していた案件や取引先は晴香が担当することになり、その引き継ぎや打ち合わせで、ふたりで遅くまで残業する日が、ここ数日、続いていた。

 その引き継ぎ業務も、ようやく今日で終わる、という時。

「今日は珍しいんだな」

 ふと、彼が言った。

 ――気づいてくれたんだ。

 晴香はうつむいたまま、小さくうなずいた。

 ふだんは動きやすいパンツスーツばかりだが、今日は同じビジネススーツでも、かっちりした黒のタイトスカートなのだ。

 ――今日が、最後だから……。

 彼とともに働くのも、今日が最後。だから、ほんの少しだけ、ふだんとは違う自分を見てもらいたかった。仕事一直線のパンツスーツではなく、スカートをはいて、ちょっぴり女性らしいところもあるんだ、と。

 だがそれを、あらためて指摘されると、やっぱり恥ずかしい。顔がぽおっと熱くなるのがわかる。

 自分たちのほかには誰もいない、夜のオフィス。灯りがともるのも部署の一部だけだ。暗く、人の気配がないフロアは、いつもよりずっと広く感じられる。

 ――そう……。ふたりきり、なんだ。私たち。

 最後の夜。きっと、大切な思い出になる。

 あらためてそう思うと、ますます恥ずかしさが募るようだ。

 うつむいたまま、彼と目を合わせることもできない。

 そうやって机に向かったまま、身動きもできなかった晴香の手に、和臣がそっと自分の手を重ねてきた。

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